第83夜:昭三のこけし(3)
小林昭三のこけしを始めて入手したのは、3年前の10月、友の会の入札であった。千夜一夜(Ⅰ)第872夜参照。そして、今年の1月例会で2本目のこけしを入手した(第66夜参照)。同じようなこけしであれば1本あれば良いのだが、表情や型が違うと比較のためにもまた入手してしまう。今回の昭三もそんな1本であった。口絵写真は今回入手した昭三こけしの表情である。
こちらが今回の昭三こけしである、大きさは8寸1分。胴底には本人の署名と年齢(26才)があり、「43.3.22」の書き込みもある。角張った頭に肩の張った直胴。胴は下部で僅かに膨らみ、裾部では逆に窄まっている。第872夜で紹介した昭三こけしは昭和43年1月のもの。本作はそれから2か月ほど後の作ということになる。
こちらに、手持ちの3本を並べて見た。左から43年1月、同3月、44年5月。昭三のこけしは昭和42年頃のものから知られており、左のこけしは初期の俤を色濃く残している。真ん中の3月作ではやや変化が表れている。頭の形が1月作では下部がやや膨らんだ下膨れ形なのに対し、3月作では逆に頭の上部が大きくなっている。前髪、鬢もやや大きくなり、目も下瞼に湾曲がつくと共に中央に寄って、位置も上方になってきた。視線は上を向いている。1月の漫画チックな表情に比べると整った表情になっており、幼子が成長した顔になったようにも見える。赤、緑、紫、黄の4色を使ったロクロ線は太さを変え、配色も見事である。それから1年、昭三のこけしは大きく変わる。その変化の原因が何にあるのかは定かではない。しかし、それでも別の意味で肘折らしさを失っていないのは流石である。
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