第87夜:周助型の後継者(吉野誠二)熊本地震
熊本で起こった地震が大変なことになっている。14日に発生した震度7の地震を上回る規模の地震が再び発生し、その被害は一段と大きくなった。更に震度3以上の余震が頻繁に発生している。昨夜からの激しい風雨は何とか凌げて更なる大被害にはならなかったようで良かった。被災された方々には心よりお見舞い申し上げる。西南戦争でも陥落しなかったあの名城の熊本城の惨状に心が痛む。
さて、仙台の佐藤昭一さんから個展の案内が来た。ここしばらく案内は無く心配していたが、頑張っているようだ。その原動力に弟子の吉野誠二さんのこけし界デビューがあるのは確かだろう。今夜は、その吉野さんのこけしを紹介しよう。口絵写真は大正型の表情である。
吉野誠二さんは昭和25年の生れ、ずっと会社勤めをしており昨年、定年退職となった。昭和45年よりこけしに興味を持ち、コレクターとなっていたが、平成6年に三越であった佐藤昭一個展で昭一こけしに興味を持ち、以降昭一と親交を重ねることとなる。平成10年からは昭一よりこけし作りの手解きを受ける。そして、定年を機に本格的にこけし製作を始めたとのことである。
誠二こけしについては、今年1月に名古屋こけし会の定期頒布で昭和型を、友の会の2月例会で明治型を、そして名古屋こけし会の3月定期頒布で大正型と立て続けに周助の各型を入手することが出来た。
こちらがその周助の各型で、左から明治型、大正型、昭和型である。大きさはいずれも8寸であるが、その雄大さは群を抜いており迫力満点である。17年間、昭一について周助型こけしを見て来ただけあって、周助の特徴を良く捉えている。
巳之助の大正型(左)と並べて見た。巳之助の大正型は昭和40年8月作で「たつみ」での一連の復元の契機となったものである。千夜一夜(Ⅰ)第353夜参照。巳之助作でも大きな平頭だと思っていたが、誠二作はそれを遥かに上回る大きさである。同型のこけしであることは一目瞭然であるが、木地の大きさ、描彩などは自身の感性で作っており、単なる写しではないことが分かる。周助の型は30以上もあり、誠二さんはこれから、それらの型を順次作っていくのであろうが、どのように変化していくのかも興味のあるところである。
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