第110夜:久志のこけし(戦前と戦後)
長かったリオ五輪もあと1日余りとなった。昨日は吉田沙保里の五輪4連覇目前での敗退という日本人にとってはショッキングなニュースでもちきりであったが、一夜明けた今日は400mリレーで銀メダルという超ビッグニュースで日本中が湧いた。実力で米国を破り、ジャマイカに次いで2位というのはマラソンを除いた陸上競技では画期的な出来事であった。一人一人は10秒を破れない走力であっても、それが4人揃い、バトン渡しという職人的技能が加わることで、日本人でもメダルが取れるという証明でもあった。
さて、今夜は新山久志の戦前と戦後のこけしを比較してみたいと思う。口絵写真は戦前の久志こけしの表情である。
新山久志の戦前(右)と戦後(左)の同型同寸のこけしが揃ったので、それを紹介し、比較してみよう。大きさは8寸。久志の戦前のこけしは昭和13年から16年までで、胴の括れは昭和15年からとされており、写真の右のこけしは昭和15年頃の作と思われる。一方、左のこけしは戦後の昭和30年代のものである。胴中央部が括れており、そこに2本の紫帯が入っている。括れは戦前作の方がやや下方にあり、胴上部の方が下部よりも長く見える。頭は戦前作は横広だが、戦後作はそれよりやや縦が長い。バランス的には戦前作の方がすっきりとしている。胴上部には二本の襟線、胴下部には三本の裾線が描かれているが、戦前作の方が線が太く力強い。また、戦前作の裾線は3本の上部がくっついているが、戦後作では離れており、この離れ具合は年とともに大きくなり、やがて殆ど平行になってしまう。面描では、戦前作は眼点が大きく、あどけない表情で視線は向かって右上方に向かっている。戦後作の方は、30年前後のピーク期よりは後の作で、整っておとなしい表情になっている。
こちらは胴底の鉋跡と署名。戦前作(右)は4本爪、戦後作(左)は丸爪である。
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