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第109夜:木肌こけし(盛)

Sakari_kihada_kao

リオ五輪が始まって一週間が経ち、会期の中盤を迎えている。これまで日本の選手は柔道、競泳を中心にメダルラッシュが続いており、マスコミ等の大甘予想が的中しそうな嬉しい誤算である。テニスの錦織も今朝の奇跡的な逆転でメダル一歩手前まで来た。さて結果は…。あと数時間後には決定する。
さて、今夜のこけしは木肌こけし(仮称)。秋田時代の高橋盛のこけしである。木肌こけしは胴に製材していない木の皮をそのまま使ったもので、今でも観光地のお土産こけしにはよく見られるが、戦前にも作られていた(千夜一夜1の第785夜参照)。口絵写真は、その表情である。

Sakari_kihada_2men

こちらが、その木肌こけしである。大きさは5寸7分。胴部は角館の樺細工(桜皮細工)で有名な桜の木をそのまま使っており、肩の部分のみ轆轤で成形したある。頭は通常のこけしで、嵌め込みになっている。顔の表情から秋田時代の高橋盛と推定したが、出品者は秋田市の方であった。

Sakari_kihada_hikaku

同じ秋田時代の盛こけし6寸(右:昭和16年)と並べて見た。胴の太さ・長さはそれほど変わらないが、木肌こけしの方が頭が相当小さいのが分かる。しかし、木肌こけしだけを見ると特に違和感はないので、その辺は盛の造形感覚の成せる技なのであろう。

盛の秋田時代の活動はあまり知られていない。しかし、現在残されているものには、今回の木肌こけしの他、入れ子こけし(千夜一夜1の第811夜参照)やもんぺこけし等、鳴子時代には知られていないものが多い。鳴子を離れたことで、周囲の制約が無くなり、色々な物を作ったのであろうか…。

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コメント

桜の皮付きこけしは大沼岩蔵の作品を見ていますが、盛も作っていたんですね。

益子 高様
岩蔵の皮付きこけしは割合良く見かけますが、同じ鳴子系でも他の工人のは見当たらないですね。
今回の盛も岩蔵も鳴子の中心地ではなく離れたところに居たというのは偶然でしょうか…。

皮付きのこけしはこれはこれで面白いと思うのですが、やはり正規のこけしとどちらが良いかと聞かれると、正規の方を取りますね。それにしても、観光ブームに裏付けられた第2次ブーム時代ならいざ知らず、筋金入りのコレクター達が闊歩していた第1次ブーム時代にこの様な変わり種を作っていた工人が居たとは少し意外な感じがしますね。やはり収集家の要望で作ったのでしょうか?。

益子 高様
盛も秋田に行ったので、このような皮付きを一般観光客向けに作ったのではないでしょうか。本格的な収集家は伝統的なものを望んだでしょうし、鳴子温泉の中では本格的なこけしが作られていたのではないでしょうか。岩蔵の皮付きこけしがどこで売られていたかははっきりしませんが…。

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