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第138夜:入れ子こけし(岡崎幾雄)

Ikuo_ireko_kao

今夜は思い出話をひとつ。平成5年8月22日、上野精養軒では東京こけし友の会の創立40周年記念会が開かれていた。この40周年の記念こけしは、岡崎幾雄さんの友の会蔵栄治郎写しと井上ゆき子さんの春二古型の2本であった。記念会には幾雄さんも出席されており、立食パーティの席上で話をする機会を得た。幾雄さんと話をするのは初めてであったが、幾雄さんのこけしは入手難であったので、製作状況を尋ねてみたのである。すると、外には出していないが、自宅の店(能登屋)には置いてあるとのこと。蔵王温泉に来てくれる人を優先しているとのことであった。口絵写真は、幾雄さんの入れ子こけしの表情である。

その話を聞いて、それから二か月後の10月24日に蔵王温泉を訪ねた。当時の能登屋は酒屋兼お土産屋であり、その店の奥の棚にこけしが並べられており、幾雄さんのこけしも栄治郎型を中心にかなりの本数が置かれたいた。夢にまで見た栄治郎型こけしを目の前にして嬉しさに胸は高鳴り、原寸栄治郎型を始め数本のこけしを包んで貰った。その時、幾雄さんは在宅していなかったと思う。

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こちらの写真右がその時購入した原寸栄治郎型である。前述した通り、この年幾雄さんは友の会栄治郎を復元し、以後その型を作るようになったが、それまではこの右の栄治郎型が中心であった(友の会栄治郎とは描彩がやや異なる)。その後は、この栄治郎型と友の会栄治郎型の両方を作り分けていたが、最近は友の会栄治郎型が中心になっているようだ。この時に能登屋で幾雄さんのこけしを入手出来たことに味をしめ、以後毎年、蔵王温泉まで足を運ぶことになった。

その頃、高橋五郎さんが企画した「新しい伝統こけし展」が2年毎に開かれており、幾雄さんもそれに触発されて色々なものを作っていた。2,3年後に訪ねた時には、笠被りの栄治郎型や入れ子の栄治郎型も置いてあったが、懐具合の関係で入れ子の栄治郎型は買いそびれ、以来それを入手する機会を伺っていたが、新作の入れ子栄治郎型は作られなかったようだ。その待ちに待った入れ子栄治郎型が先日のヤフオクに出品された。それが写真(左)である。2本並べて見ても、左が入れ子だとは全く分からない出来栄えである。顔にややシミが出ているが珍しい入れ子で激戦が予想されたが、応札者は4人しかおらず、しかも野口英世2枚ちょっという安価な落札価であった。能登屋での価格の1/4程度である。安価に入手できたのは嬉しいが最近のこけし人気の一端を見たようで複雑な思いである。

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栄治郎型の親こけし(左)と子こけし(右)である。子は5寸の栄作型。

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子こけしを中に入れた状態である。赤い帯の下端で胴が二つに分かれる様になっている。胴下部への差し込みは絶妙な感じできっちりと嵌り、幾雄さんの木地技術の素晴らしさを物語っている。

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