第135夜:入れ子こけし(小林清次郎)
こけし工人とは、こけしを作る人のことを言うが、元々は木を材料にしてロクロを使って加工し、種々の木地製品を作る木地師と言われる人々が、余技としてこけしを作ったことに始まる。昭和になって、木地製品の中でもこけしの比重が高くなっても、戦前に生まれた工人は概ね木地技術に長けており、その技をこけしの細工物などに発揮してきた。小林清次郎さんもそんな一人で、入れ子など応用している。千夜一夜(1)の第271夜で紹介した入れ子もその一つである。今夜は、その清次郎さんの孫持ちを紹介しよう。口絵写真は、孫持ちこけしの表情である。
こちらが、本稿の孫持ちこけしの全体像である。大きさは7寸4分。外見からは木地の継ぎ目は見えず、中にこけしが入っているとは分からない。
中に入っている子と孫を出して並べて見た。子は3寸8分、孫は2寸1分である。この大きさで中に2本のこけしを入れるには親こけし、子こけしの中を大きく刳り貫く必要があり、その分胴の厚みは薄くしなければならない。しかも何年経ってもきっちりと嵌るようにするには相当の木地技術がなければならない。
こちらは、中に入れた状態。子も孫も、それぞれの親こけしの中に殆ど隙間なくすっぽりと収まっている。二つに分かれた胴は、作られてから数十年経っているにも拘わらず、全く狂いもなくきっちりと嵌る。素晴らしい精度である。
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