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第131夜:渡辺和夫の後継者たち

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先月(10月)の友の会例会には、岩附義正さんの新作(由吉型と米吉型)が並んでいた。岩附さんは最近、精力的に湊屋のこけしを作っており、7月例会では虎吉型と七郎型が頒布されている。岩附さんは湊屋の渡辺和夫(二代目浅之助)の弟子であるが、和夫の後継者としては、弟子として岩附さんの他に、野地忠男さん、太田精二さん、直接の弟子ではないが息子の渡辺亨さんが名を連ねている。しかし、野地さん、亨さんは既に亡く、太田清二さんも高齢で量産は難しく、現状では岩附さんと野地三紀子さん(野地忠男さん娘)に期待がかかる。今夜は、この和夫さんの後継者のこけしを見てみよう。口絵写真は、岩附さんの由吉型の表情である。

Iwatuki_yoshikiti_hikaku

こちらが、渡辺和夫の後継者たちのこけし(由吉型)である。

左から太田さん(6寸5分)で平成25年1月の友の会例会で入手したもの。胴模様は赤と黒の二色のみであるが、それを巧みに組み合わせて湊屋の特徴的なロクロ模様に仕上げている。筆太の面描で若々しい。
左から2番目は岩附さん(6寸2分)で本年の10月例会の頒布品。こちらも胴模様は赤と黒が主体であるが、中央部の黄色ロクロ線と緑のレ点模様がアクセントになっている。面描は細めであるが筆力は強い。
真ん中は渡辺亨さん(5寸9分)で名古屋こけし会の頒布品(平成19年5月)。亨は父和夫が平成17年12月に亡くなったため、18年からこけし製作を開始し、湊屋系の良いこけしを作ったが19年9月に急逝してしまった。本こけしは、まだ手馴れていないが、面描には独特のアルカイックスマイルが感じられ、今後の作行が期待されたため急逝が惜しまれる。
右から2番目は野地忠男さん(7寸3分)で平成8年1月作。胴模様は赤主体で緑、紫、黄色が加わり明るく淡い感じに仕上がっている。得も言われぬ微笑みが素晴らしい。
右は野地三起子さん(7寸3分)で名古屋こけし会の頒布品(平成24年8月)。「野地姓継承記念」との署名がある。頭の形は異なるが、左の忠男作を継承した作風である。表情は三起子さんには珍しく、鋭くきつめである。

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コメント

ご存知無いようですのでお教え致しますが、渡邉亨は野地氏の弟子ではありません。全く関係がありません。ましてや師弟関係などありません。

通りすがり様
ご指摘、ありがとうございました。
Kokeshi Wiki に「野地さんについて木地技術を学んだ」と記載されていたので…。
「野地さんの弟子」の部分を削除しました。

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