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第155夜:子持ちえじこ(高橋通)

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国恵志堂は、入れ子こけしや子持ちえじこなどの細工物が好きである。単にこけしを作るのに比べたら遥かに面倒であり、それなりの木地技術が要求される。従って誰にでも要望できるものではないが、そのようなものがあれば出来るだけ入手してきた。先日、ヤフオクに高橋通さんの子持ちえじこが出ていた。通さんのこのような作品は初めて見たので、何とか頑張って手にすることが出来た。今夜はその子持ちえじこを紹介したい。通さんの思わぬ工夫なども知ることが出来、これも収穫であった。口絵写真は、そのえじこの表情である。

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さて、こちらが全体像である。えじこは高さ10cm、径9cm。平成21年の署名がある。中には6本の豆こけしが入っており、大3本は1寸5分、小3本は1寸である。大3本と小2本(真ん中と右)は通作で、小1本(左)は奥さんの順子作。いずれも定寸ものをそのまま縮小したミニチュアで手抜きのない緻密な作。順子作の独特な模様も嬉しい。

Ttoru_komoti_ejiko_naka

こちらは、えじこの中に豆こけしを収めた状態。豆こけしの底には、通作は「と」、順子作は「じ」と書かれている。このような子持ちえじこの場合、蓋になっている頭は容器型の胴の上に載せる形が多いのであるが、この作品では下の写真のように、蓋をして持ち上げると、えじこ全体を持ち上げることができる。

Ttoru_komoti_ejiko_up

このように、胴体と蓋がくっ付いた状態に出来るえじことしては、斎藤弘道さんの作品(千夜一夜1第790夜)があるが、それは蓋部を胴体に押し込んでロックする方法であった。この通作では、蓋を回すことによりロックするようになっている。これは出品者の解説に書かれていたもので、それがなければ分からなかったであろう。蓋部は僅かに楕円形になっており、回すことによって胴部と密着する構造になっているのである。なかなかのアイデアである。

このような素晴らしい作品を作っていた通さん、順子さんをそれから2年も経たない内に東日本大震災が襲った。お二人はその後、避難生活を送ることを強いられ、こけし作りも思うに任せない状態が続いているのは周知の通りである。一日も早く以前のようなこけし作りが出来るようになることを祈って止まない。

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コメント

素晴らしいですね
佳隆さんには大(約横16㎝高さ13㎝位の)、中のエジコは作成頂いたのですが子持ちはなかったです。通さんのこの様な大きなエジコは見たことが無かったです。通さんはネマリコだけと思っていました。大変参考になりありがとうございます。

雪割草様
佳隆さんのエジコをお持ちでしたか。
私も通さんの子持ちエジコは初めてみましたが、良いですねぇ。
他にも作っているはずなので、ぜひ探して見てください。

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