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第154夜:吉紀・真由美夫妻の小関写し

Mayumi_koseki_kao

昨夜が締め切りだったヤフオクに「こけし人形図集」という戦前の文献が出品されていた。この文献の名前についてはしばしば聞くところであったが、その全容については知らなかった。今回の出品の解説と掲載写真から、戦前のこけしが沢山掲載されていることが分かり、ぜひとも見て見たいと挑戦した。しかし、同様に思う方も多かったと見え、価格は鰻上りに上がり、相当頑張ったものの残念ながら落札には至らなかった。次に機会を期待しよう。さて、年明けにこけし同志のK氏より、こけしが送られてきた。新山吉紀・真由美夫妻による小関幸雄戦前作の写しとのこと。なかなか良い出来なので、紹介させて頂く。口絵写真は真由美さんの写しの表情である。

Mayumi_koseki_2men

こちらが、吉紀・真由美夫妻の写しである。右が吉紀作で左が真由美作である。大きさは7寸8分。「原」はステッキこけしと言われた頃の小関幸雄のこけしと思われる。細い胴に縦長の丸い頭を付け、素朴で可憐な幼女を表現している。同じ「原」を元に作っても、そこには作り手の個性が現れるのが手作りの面白いところ。吉紀さんは眉目の筆致鋭く元気な女の子を、また真由美さんは女性らしく穏やかでおっとりした童女を表しているようだ。胴には赤・緑交互の重ね菊を描いているが、両者で描法はかなり異なる。「原」は白胴であったようだが、本品のような黄胴も作って貰ったとのこと。特に違和感は感じられず上手く仕上がっていると思う。


Mayumi_koseki_hikaku

手許にある小関幸雄の戦前作(千夜一夜1第1000夜)と真由美作を並べて見た。大きさも同じで表情も良く似ており、「原」こけしは、この幸雄と同時期に作られた模様違いではないのかと思われるほど。表情的には吉紀さんより真由美さんの方が近く、良い雰囲気を出している。

Mayumi_koseki_atama_hikaku

頭頂部のロクロ模様も比べてみた。こちらも同じ様式であることが分かる。

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