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第173夜:最近入手の古品(斎藤伊之助)&花見

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東京では2日の日曜日に桜の満開が気象庁から宣言されたので、翌3日に宣言の対象となった靖国神社の標本木を見に行ってきた。道路を隔てた隣の千鳥ヶ淵では桜はチラホラの咲き初め状態。標本木だけがやけに頑張っているようだった(笑)。さて、こけしは肘折の斎藤伊之助である。伊之助の残るこけしは少なく、国恵志堂も今まで所蔵していなかったが、今回出会った伊之助は表情良く、保存状態も上々だったので入手した次第。口絵写真はその伊之助の表情である。

先ずは、花見の写真から・・・

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こちらが靖国神社の標本木。4/3の開花状況である。靖国神社では、この時期露店が出て賑やかで、それも花見の楽しみであったが、今年から中止になってしまった。残念である。

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その後、旧水戸藩の小石川後楽園へ。上の写真は満開の枝垂桜、下の写真は東京ドームの大きな銀色の屋根をバックにした桜である。

さて、斎藤伊之助は明治26年山形県最上郡の肘折の生まれ。15歳の頃、佐藤文六の弟子となり木地修業。こけしは大正期から作っているが、残るこけしの多くは昭和15年から17年頃に作ったもので、戦後(昭和22年頃)は小寸物を多数作ったという。

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こちらが本項のこけし。大きさは1尺。こけし手帖648号「談話会覚書(20)」に掲載されている伊之助こけし(写真⑨:9頁)と同手のこけしである。縦長の角頭に肩に段のある長い真っ直ぐな胴を付けている。胴には木の節が2個あり、吟味された材料を使っていた訳ではないことが分かる。胴模様は重ね菊であるが、花芯部を丸く大きく空け、そこに緑で点状の模様を入れている。

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こちらは頭頂部。頭頂部には大きな赤点を描き、そこから左右に5本ずつ手絡状の赤線が延び、後方の1本は遠刈田系に見られるように長くくねる。赤点の直後には緑でリボンのような模様が描かれる。鬢の後には沢山の赤線が横に描かれる他に耳も描かれている。眉・目の描線は鋭く、二側目は上瞼が太く、下瞼は細く描かれ、気品がある。残る伊之助こけしの中でも優品であり、初期の15年頃の作と思われる。

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