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第176夜:最近入手の古品(高橋盛)

Sakari_s7_kao

今年は開花後、気温の低い日が多いせいか、ここ横浜でも未だ花見が出来るくらいに桜が咲いている。さて、古品の5回目の今夜は高橋盛のこけしである。「高勘」のこけしは国恵志堂が最も力を入れているもので、大正期のものから最近のものまで地道に集めているが、昭和初期の状態の良いものがなかなか見つからない。そんな中で出会ったのがこの盛。「愛玩鼓楽」のNo.769の現品で昭和7年「橘」頒布のものである。保存がとても良いという訳ではない(胴裏にはヒビが入っている)が、程良い大きさと、この時期の特徴である平頭が明確なので入手した次第。口絵写真は、その表情である。

Sakari_s7_sakura

こちらは今日(4/13)現在の桜の開花状況(自宅から眺めた公園)。

Sakari_s7_2men

さて、こちらが盛こけしの全体像。大きさは7寸8分。ほぼ真っ直ぐな直胴に横広の平頭を付けている。肩の山は高く、上部が扁平になって頭と繋がっている。胴の描彩の状態はまあまあであるが頭は相当黒くなってしまって、頭頂部の水引もよく分からない。「木の花(第弐拾弐号)」では、この時期の盛こけしについて『盛のこけしで木地が平頭というのは、生涯を通してこの時期だけで、当然疑問が持たれた。嵌め込みも悪くほとんど廻らず音も出ない。要するに木地が甘い。』として、木地は盛雄の可能性を指摘している。本品の嵌め込みはやや緩く、回して音を出すことは出来る。昭和1桁代の盛こけしは眉は大きく勢いがあって、眼点も大きめでキリットした表情のものが多いが、本品では眉目の筆致がおとなしく、それが却って鄙びた表情を醸し出している。

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胴裏のヒビの状態はこのようなもの。「愛玩鼓楽」に掲載した時点からあったものかどうかは分からないが、前所有者に渡った時点ではヒビは入っていたとのこと。

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平頭がどの程度のものなのかを、その前後の時期の盛こけしと比べて見た。左から昭和4,5年、本品(昭和7年)、昭和8,9年である。こうしてみると確かに平頭だということが分かるが、それほど極端というほどでもない気はする。

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