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第172夜:最近入手の古品(阿部金一)

Kinichi_kujirame_kao

先日、10本ほどの古品を入手する機会があったので、それらを順次紹介したい思う。初回の今夜は阿部金一のこけし。金一のこけしは、阿部家4代のこけしの一点として千夜一夜(1)第890夜で紹介したが、その金一こけしは一側目のこけしであった。今回、目にした金一は阿部家伝来の鯨目であり、そこに惹かれて入手した次第。口絵写真はその表情である。

Kinichi_kujirame_2men

こちらが金一こけしの全体像。大きさは1尺。胴底に「阿部金一」の書き込みはあるが、製作年代を示すような記載はない。そこで、金一のこけしを調べるために「木の花(第拾壱号)」を見ていると、一連の金一こけしの中に良く似たこけしが見つかった。余りに似ているので細部を見比べると、どうも同一のこけしらしい。それは8頁に載っている(8)尺(橋元蔵)のこけしである。思いもかけず珍しいこけしに出会ったものである。このこけしは、同頁に掲載されている金一のこけしとはやや雰囲気が異なっている。木の花の解説を記しておこう。『(8)は昭和17年作。金一名儀だが、鯨目で治助ばりである。胴のロクロ線もやや色調が変わってきている。』と。

Kinichi_kujirame_hikaku

手持ちの一側目の金一(左)と比べてみよう。左の一側目は「17.11」の書き込みがあり、昭和17年作と推測される。同じ17年作とすると、木地形態・描彩ともかなり異なるのが分かる。この時期の金一こけしは「木の花」の写真を見ても、概ね左の金一の様式である。特に頭の形と蛇の目の様式は、金一が作り始めた昭和14年頃のものである。17年に以前の様式を思い出して作ったものであろうか。17年作としては疑問の残るこけしではある。

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