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第183夜:津軽訪問

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友の会のこけし談話会で湯沢まで行ったついでに津軽まで足を延ばして来た。14日(日)、湯沢から普通列車を秋田で乗り換えて弘前に着いたのは午後2時過ぎ。弘前ではいつもお世話になる安達さんに案内願って、弘前市立博物館へ。ここでは館秘蔵の名品展が開催されており(6/4まで)、その一環として「木村弦三コレクション」の中から津軽系の古作を中心に70本程のこけしが展示されていた。次いで数年前の火災で新築された笹森さん宅を訪問。工房も見せて頂く。その後、笹森さんも伴って安達さん宅でこけし鑑賞会。翌15日(月)は、盛美津雄さん、津軽こけし館、奥瀬陽子さんをお尋ねして、津軽訪問を終了した。口絵写真は笹森さんのウテラ挽きをあしらった帽子エジコである。

弘前市立博物館は館内写真撮影禁止のため、展示されている「弦三コレクション」をお見せすることは出来ないが、津軽系だけでなく他の系統の保存の良い古品も沢山展示されているので、ぜひ見学されることをお勧めしたい!

では、笹森さん宅を訪問・・・

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こちらが、新築された笹森宅の外観。

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こちらは室内での笹森さん。

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笹森さんの近作。手前の小寸伊太郎型は胴底が盛り上がった「シーソーこけし」で全体がクラクラ動くように作られている。

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こちらは工房の内部。道具と材料がきちんと並べられている。

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こんな感じで木地挽きを行うそうだ。
次いで、安達さん宅へ…

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安達さん宅の「こけしの間」。各系統のこけしや玩具が整然と並べられている。特に戦後の津軽系こけしは各工人の作品が殆ど網羅されており、正に壮観である。ここで、こけし談議にふけるのは至極の楽しみである。左が安達さんで、右が笹森さん。

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笹森さんの旧作の話を聞いた。こちらの2体のえじこは何と牡丹模様が手彫りになっている。師匠(佐藤善二さん)の指示で作らされたとのこと。技術指導の一環であったのだろうか・・・。えじこの後の2本は笹森さんが最初に作ったこけしで、師匠の型ではなく、自分で考えて作るように言われたそうだ。善二さん自身も盛秀型の継承を許されず自分のこけしを作ったことから、弟子の笹森さんにもそうさせたのであろう。笹森さんは当初、こけしの胴は真っ直ぐなものという思いがあったので、このこけしは胴の括れが少ないのだそうだ。

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さて、こちらは笹森さんの眠りこけし3体。笹森さんらしく、それぞれに工夫が凝らされていて面白い。一番大きなこけしは、頭と胴の括れの部分にウテラ挽きが施されている。右の胴の丸いこけしは、胴一面に細い鉋溝が引かれてあり、そこにたっぷりした筆使いで胴模様が描かれている。今は筆が変わってしまったため、このような感じの胴模様は難しくなったそうだ。そして手前のえじこ。これは胴全体を赤の染料に漬けて、木目に沿って赤い模様が入るようにしたもの。赤カブのような感じで、染料に漬けている時間がミソのようだ。こけし1本1本についてこのような話が聞けるのは実に楽しいことで、時の経つのを忘れてしまう…。
あくる日は、盛三津雄さん宅から…。

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こけしが無いのは分かっていたので、写真を撮らせて頂き、話を伺った。年相応の不具合はあるものの、特に体調が悪いという風でもなかったが、こけしは暫く作っていないとのこと。今後のこともはっきりしたことは分からず、少量でも長く作って下さいと話してきた。
次いで、津軽こけし館・・・

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ここでは、阿保正文さんが実演を行っていた。弘前市内に開いていたお店は今は閉めてしまい、こけし館と実家(六知秀さん宅)で製作を行っているとのことであった。

最後に、奥瀬陽子さん宅へ

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こちらは室内にて。終活を始めたとかで、すっきりと整理されている。ソファーに腰かけてお茶を頂きながら陽子さんと話す時間は楽しい。陽子さんからは「こけしはありませんが、お茶はいくらでも出しますのでお越しください」とのこと。

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こちらはお店(民芸店)の前にて。緑の蔦に囲まれて洒落た感じに包まれている。

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