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第187夜:国敏さんの極初期作

Kunitoshi_h504_kao

特に意識して初作(初期作)を集めている訳ではないが、気になるものがあるとつい手を出してしまうのはコレクターの性か…。先日のヤフオクに、阿部国敏さんの極初期の作かと思われるもので出ていた。国敏さんのこけし製作過程をみると、平成4年から陳野原幸紀さんについて木地修業を行い、その後、父敏道さんや祖母シナさんから描彩を習ったという。その後本格的にこけしを作って店に出し始めたのは平成7年の末頃からのようだ。以前、平成6年の作を入手し、それは千夜一夜(1)の第515夜で紹介した。今回のものは、胴底の書き込みから平成5年4月のもの。国敏さんとしては極初期の習作時代の作と思われる。口絵写真は、その表情である。

Kunitoshi_h504_2men

こちらがその全体像である。大きさは8寸5分。胴底に「H5.4.18」の最初の入手者の書き込みがある。縦長の丸みを帯びた頭にエンタシスの胴を付け、赤、緑、紫の3色のロクロ線が賑やかである。胴中ほどには緑と紫で花のような模様を描いている。また、胴下部に引かれた波線は、紫の細ロクロ線の上にジグザグに描かれており、あたかも太治郎の胴模様(太治郎は緑のロクロ線の上に紫のジグザグ線)のようである。

Kunitoshi_h504_hikaku

国敏は敏道やシナから描彩を習ったとのことなので、敏道のこけし(右:S60年)と並べてみた。木地形態は全体的に敏道よりは丸みを帯びている。頭頂部の蛇の目は敏道よりも小さく、治助の様式に似ているが、前髪の上部が蛇の目に接している事、鱗カセが蛇の目とその外側のロクロ線の間にも描かれている点など、敏道の作風を写しているのが分かる。また上瞼の両端が下に下がって下瞼に被さっている目の描法など、面描も敏道と同じである。

Kunitoshi_h504_henka

他の初期作と比べて見た。左は第515夜で紹介のH6年作、中央はH5年9月23日、右は本項のこけしでH5年4月18日。真ん中のこけしは頭と胴の木地形態が右とは違って左に近くなっている。また、目の描法が上瞼の目尻が上に上がる鯨目風になってきており、それは左の作にも引き継がれている。従って、平成5年の後半頃からは、敏道よりは治助を意識したこけしに変貌しつつあることが伺える。

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