第186夜:佐藤寛次のこけし
今年の初めに入手し、紹介する予定であったが、そのまま延び延びになったいたものである。遠刈田の佐藤護のこけしは好きなこけしであり、その息子である寛次のこけしにも興味があったがなかなか気に入った作品に出会うことがなかった。今回、ようやく満足の行くこけしがコレクションに加わった。口絵写真は、その表情である。
佐藤寛次は昭和11年、遠刈田新地の生まれ。佐藤護の次男である。父護について木地修業をし、昭和30年頃からこけしを作り始め、その後、昭和35年頃には村上玉次郎の所で職人をした。昭和43年には遠刈田に帰郷し、護と一緒に働いたが、その後転業した。そのため作品数はあまり多く無く、Kokeshi wikiにも未だ記載がない。
こちらが、寛次こけしの全体像である。大きさは5寸。こけし辞典には、昭和41年の作が写真紹介されているが、頭が丸く、愛らしい表情のこけしである。本作は、頭が角ばり、眉は大きく、切れ長の三日月目は茫洋として遠くを見つめているような表情である。護のある種のグロ味を引き継いだこけしと言えるのかも知れない。なお、枝梅模様は護よりの伝承と思われるが、黄色の花芯の周りを黒の点線で囲む様式は、護や勝洋には見られないようだ。
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