第205夜:本田裕輔さんの初期こけし
東京こけし友の会の例会では、珍しいこけしや入手困難なこけしが抽選こけしとして出品される。抽選品を入手するには応募用紙に名前を書いて抽選箱に入れる必要があるので、とりあえず入れておく。筆者は抽選には弱いので期待はしていなかったが、かなり早い段階で名前が呼ばれた。今回は特定のこけしを狙っていた訳ではなかったので、本裕輔こけしを選んだ。胴底に昭和50年との記載があり、年齢に換算すると16歳ということで初期作と思われたからである。口絵写真はその裕輔こけしの表情である。
こちらが裕輔こけしの全体像である。大きさは5寸9分。Kokeshi Wikiによれば、本田裕輔は昭和34年、白石市小原の生まれ。本田亀寿の6男である。昭和48年から仙台の広井道顕について木地修業。昭和50年からは亀寿についてこけし製作を学んだ。その後、10年程こけしを作っていたが転業した。Kokeshi Wikiには初期の作として昭和50年3月のこけしが載っている。本こけしは、それとほぼ同様の作。胴底には「50.2.16 小田急30人展せん考のとき、東観より贈らる」と鉛筆で記入されている。この当時、毎年「東観」主催の伝統こけし30人展が開催されており、昭和50年は第3回で佐藤春二が冠工人であった。その選考会は3/2に小田急百貨店で開かれた。従って、このこけしは、その選考会にて、前所有者(選者の一人)が「東観」から贈られたものと推測される。この30人展には本田亀寿も出品・入選している。その作品募集の過程で「東観」が本こけしを入手したのであろう。
さて、そうすると本作は、裕輔さんがこけしを作り始めて間もない極初期の作品ということになる。木地・描彩とも未だ手慣れたものではなく、Wikiの作と比べても面描などたどたどしい筆使いである。Wikiの作では描かれている鬢うしろの赤い鬢飾りが、本作では描かれていないのも、それを物語っているのであろう。
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