第217夜:今さんの闇夜こけし
一か月ほど前にヤフオクに今さんの初期のこけしが纏めて出品されていた。筆者はあまり意識していなかったのだが、その中に「闇夜こけし」が1本入っており、それを落札された同好のS先生より「今晃作」と署名されたそのこけしに関して連絡を頂いた。そこで、今こけしの大コレクターである坂入氏に問い合わせたところ、氏もこの「闇夜こけし」に気付いており、今さんに新たに「闇夜こけし」を頼んでいて、9月頭には出来上がっていた。昨夜、S先生とお会いする機会があり、その「闇夜こけし」をお借りすることが出来たので、坂入氏の新作「闇夜こけし」と共に紹介したいと思う。口絵写真は今さんの元祖「闇夜こけし」の表情である。
こちらが今さんの元祖「闇夜こけし」の全体像である。大きさは4寸。頭と胴は一体の作り付けで、胴下部が括れた地蔵型で裾部は厚めの台状になっている。胴には無彩の輪っかが2つ嵌められている。描彩は津軽系の辰雄型で胴には赤と緑の重ね菊が描かれている。製作時期について、坂入氏は自身のブログの中で次のように述べられている。『先日、ヤフオクで、館時代の闇夜こけしが出品されて、その話をしたら、数十年振りに作られたようです。「こけしの館」時代は、本田功さんと長谷川健三さんと一緒に仕事をされておられ、その話の中で作ってみられたようです。』と。「館時代」とは昭和56年11月から57年8月までであるが、この話からこの「闇夜こけし」が本田功さんなどと一緒に入っていたことも頷ける。
さて、今回、今さんが作った「闇夜こけし」(右、5寸2分)と並べてみた。新作は首がはめ込みになっていて回すことが出来る。形もやや違い、描彩も全く異なる。今さんが、「今作るならこのようなものになりますよ」という事で作った「闇夜こけし」なのであろう。
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