« 第217夜:今さんの闇夜こけし | トップページ | 第219夜:今さんの闇夜こけし(2)…追記あり »

第218夜:こけしの不思議な縁(今晃)

Kon_tatuo_tareme

東京こけし友の会では、遠方の方など毎月の例会に出席できない会員にも良いこけし、手に入り難いこけし等を会誌「こけし手帖」に「地方頒布」として掲載し、頒布を行っている。そのこけし手帖の本年8月号(679号)には、人気の高い今晃さんの初期のこけし・えじこを12組(16本)掲載して申込みを受け付けた。応募者数が頒布数を超えたこけし・えじこの抽選は9月例会(9/24)で行われ、当選者に送られた。今夜は、その中でも人気の高かったこけしを紹介しよう。口絵写真はその今こけしの表情である。

タイトル名に「こけしの不思議な縁」と書いたのは、この抽選に当たったのが、昨夜紹介した闇夜こけしを入手したS先生だったからである。氏は永年の友の会会員であるが「地方頒布」に応募したのは今回が初めてとの事。しかも8倍の競争率を制しての当選であった。筆者は、あの闇夜こけしが今回の今こけしを呼び寄せたのだと思っている。こけし界ではしばしば語られる逸話でもある。

さて、今夜紹介するこけしは、今さんが長谷川辰雄の弟子であった時期に作られたものである。坂入著「木おぼこ・今晃-今晃こけし図譜-」によれば、今さんは昭和49年末に佐々木金一郎さんの弟子になる予定であったが、金一郎さんが50年1月30日に急逝したため2月より長谷川辰雄さんに弟子入りした。51年3月下旬までは大鰐の金一郎作業場で、4月からは弘前市門外町に移って辰雄型のこけしを製作した。この時、師匠より「署名はきちんと書くように」と言われ、習字を習い、楷書体で書くようになったとのこと。52年6月に弟子上がりとなり、7月からは本田功さん宅でこけし製作を行うようになった。

Kon_tatuo_2hon

Kon_tatuo_2hon_yoko

こちらが今夜紹介するこけし(右)。左は筆者所蔵の同時期の今こけし。大きさは6寸。同時期の同じ辰雄型の同手のこけしであるが雰囲気は異なる。左は頭が縦長ぎみで、目尻が離れた吊り目に二筆口、右は頭は横広ぎみで目尻の着いた垂れ目に二筆の笑口。胴模様のアヤメの形も違っている。参考にした辰雄のこけしにこのような表情のこけしがあったのか、それとも今さんの感性で描いたのかは分からない。

Kon_tatuo_2hon_syomei

署名を見てみよう。いずれも整った楷書体で、門外町に移って習字を習ってから書いたものであろう。時期的には51年4月から52年6月まで。右のこけしには「51-9」の書き込みがあり、51年9月ということであろう。「木おぼこ・今晃」に掲載の同手の名古屋こけし会頒布品(51.3.14)は頭は横広であるが、目と口、アヤメの形は左のこけしに近い。従って、左のこけしは51年3月から9月の間の作なのかも知れない。

« 第217夜:今さんの闇夜こけし | トップページ | 第219夜:今さんの闇夜こけし(2)…追記あり »

津軽系」カテゴリの記事

その他」カテゴリの記事

全て」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第218夜:こけしの不思議な縁(今晃):

« 第217夜:今さんの闇夜こけし | トップページ | 第219夜:今さんの闇夜こけし(2)…追記あり »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ