第218夜:こけしの不思議な縁(今晃)
東京こけし友の会では、遠方の方など毎月の例会に出席できない会員にも良いこけし、手に入り難いこけし等を会誌「こけし手帖」に「地方頒布」として掲載し、頒布を行っている。そのこけし手帖の本年8月号(679号)には、人気の高い今晃さんの初期のこけし・えじこを12組(16本)掲載して申込みを受け付けた。応募者数が頒布数を超えたこけし・えじこの抽選は9月例会(9/24)で行われ、当選者に送られた。今夜は、その中でも人気の高かったこけしを紹介しよう。口絵写真はその今こけしの表情である。
タイトル名に「こけしの不思議な縁」と書いたのは、この抽選に当たったのが、昨夜紹介した闇夜こけしを入手したS先生だったからである。氏は永年の友の会会員であるが「地方頒布」に応募したのは今回が初めてとの事。しかも8倍の競争率を制しての当選であった。筆者は、あの闇夜こけしが今回の今こけしを呼び寄せたのだと思っている。こけし界ではしばしば語られる逸話でもある。
さて、今夜紹介するこけしは、今さんが長谷川辰雄の弟子であった時期に作られたものである。坂入著「木おぼこ・今晃-今晃こけし図譜-」によれば、今さんは昭和49年末に佐々木金一郎さんの弟子になる予定であったが、金一郎さんが50年1月30日に急逝したため2月より長谷川辰雄さんに弟子入りした。51年3月下旬までは大鰐の金一郎作業場で、4月からは弘前市門外町に移って辰雄型のこけしを製作した。この時、師匠より「署名はきちんと書くように」と言われ、習字を習い、楷書体で書くようになったとのこと。52年6月に弟子上がりとなり、7月からは本田功さん宅でこけし製作を行うようになった。
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