第235夜:匠の技(佐藤春二)
最初にこの種のエジコを見た時には驚いたものだ。篭に入った幼子の首が回るのは分かるとしても、中の身体もまた篭の中でクルクル回る仕組みは、一体どうやって作ったのだろうと思う。静止が基本のこけしと違って、このエジコは頭と胴体が動くところが何とも面白い。幼子の胴体に描かれた赤・緑・紫の丸円模様もどのようにして描いたのだろうか…。この手のエジコが誰によって何時から作られたのか定かではないが、春二が作り出したような気がする。口絵写真は、その表情である。切れ長の凛々しい瞳は幼子というより妙齢の少女を思わせる。
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