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第231夜:復活!正司さん

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11/19(日)、友の会の旅行は山寺駅にて解散となり、殆どの参加者は山形に戻り新幹線で帰京することになったが、筆者は山形で参加メンバとは別れ、米沢行きの普通列車に乗った。長谷川正司さんに会うためである。昼過ぎから再び雪が降り出し、米沢に着いた頃にはかなり激しくなっていた。駅から少し離れた宿にチェックインするのを諦め、正司さんに車で迎えに来て頂く。既に辺りの地面には雪が積もり始めていた。今年初めての本格的な降雪とのこと。雪の中を正司さんのお宅に着く。口絵写真は、近作の吉太郎型こけしの表情である。

今回の降雪で米沢駅周辺に積もった雪。翌日朝、宿の窓から米沢駅方面を望む。

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さて、山形系のこけし工人の減少は激しく、山形系の本流、吉太郎型を作る工人は、今や本家の小林清さんと米沢の長谷川正司さんの2名になってしまった。その正司さんも数年前に奥様を亡くし、その後体調を崩して今年の初め頃には殆どこけしを作らない状況になっていた。電話で声は聞いていたものの顔を見たくて友の会旅行の帰りに寄ったのである。一人住まいの座敷に通されると、大好きな吉太郎型のこけしが迎えてくれた。

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こちらがそのこけし。正司さんが最も得意とする細身の吉太郎型で大きさは9寸7分。肌の白いサワクルミ材を使い、胴下部を少し絞り気味にしたスマートな木地形態。胴上下に赤と黄緑のロクロ線を密に引いている。大きく踊るようにように描かれた花冠と5弁の花模様が華麗である。そして、一番の見どころはやはり表情。目尻・眉尻が上がった切れ味鋭い筆致は健在で吉太郎の迫力ある表情を見事に写し取っている。猫鼻がやや小振りになった気もするが、内閣総理大臣賞を取った往時に引けをとらない出来栄えである。

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他の作品も見てみよう。中央は左と同型で割れ鼻のもの。眉・目は更に吊り上り、凝視度は強い。そして、胴下部の左右には5弁花を配して独自の様式に挑戦している。右はイタヤ材の8寸。頭が縦長で胴裾を絞った木地形態で胴の緑のロクロ線の色が濃くなっている。こちらも表情は強い。正司さん渾身の力作である。

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齢80に達し、病明けにも拘わらずこれだけのこけしを作れたことを素直に喜びたい。これからも山形系の長老として、末永くこけしを作って貰いたいと思う。

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