第226夜:こけし談話会(桜井万之丞・コウ)
昨5日(日)は東京こけし友の会のこけし談話会があった。この談話会は通常第2週に行われるのだが、今月は第2週にとげぬき地蔵尊高岩寺での木地山系こけしのイベントがあるため、一週繰り上げての開催となった。テーマは鳴子系の桜井万之丞・コウのこけしで、万之丞、コウ、昭二の作品が戦前作を中心に展示され、幹事の解説の後、じっくりと鑑賞することが出来た。参加者は12名。口絵写真は大正期の万之丞こけしの表情である。
こちらは、万之丞の数少ない大正期(大正10年)のこけし。米浪氏の旧蔵品である。大きさは6寸。この時期の作では向かって右目も目尻が下がる傾向があるようだ。ロクロ線のない白胴に肩に入った1本の深い鉋溝が良いアクセントとなり、力強い一輪の菊が良くマッチしている。
こちらは、秋山忠木地のこけし。全体に細身で、頭も縦長、黄胴で胴下部にカンナ溝が1本入る。胴や肩の山に赤緑のロクロ線も入るため華やかではあるが、面描の筆致も細く、本人木地とはかなり印象の異なるこけしとなっている。
こちらが本人木地のこけし。横広の大きな頭に胴下部に赤のロクロ線を配し、胴上部には太いカンナ溝が1本入る。肩の山にもロクロ線は入らない。胴には菊花を3輪配す。眼点が大きめの大らかな表情が素晴らしい。これぞ万之丞といった風情のこけしである。
同じ本人木地の戦前作と戦後作(右)を並べてみた。戦後作は全体に細身となり、肩の山の盛り上がりが異常に高い。胴模様の花が5輪となってやや煩くなった。表情は優しい。戦後作も1本だけ見るとなかなか良い出来であるが、こうして並べてみると戦前作の迫力に圧倒される。
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