第225夜:引き寄せられるこけし(高橋盛雄)
今日から11月、今年もあと2か月を残すだけとなった。先日、書肆ひやねに落札こけしの秋山耕一郎を受け取りに行った折、2階のこけし棚を眺めていると気になるこけしを見つけた。高橋盛雄のこけしである。「高勘」好きの国恵は盛雄こけしもそれなりに持っているが、このこけしには何か惹かれるものがあり、連れて帰ることにした。同一工人の同じようなこけしであっても一本一本違うのが手作りの良さ。もう持っているからと流してしまうのではなく、常に良いものを求める気持ちを大切にしたい。口絵写真は、その盛雄こけしの表情である。
こちらが、その盛雄こけしの全体像である。大きさは7寸。「高勘」には珍しい牡丹模様である。さて、このこけしの魅力はどこにあるのであろうか。先ず一番に目に付いたのは牡丹の胴模様である。4つの花弁の牡丹を3段に重ね葉を添えているのだが、花弁の赤、緑の葉とも色調が深く、そのコントラストが素晴らしい。また、花弁も葉も中央に寄っていて力強く描かれ隙がない。次に胴の形。肩の張った鋭角的な形態で、胴裾がやや広がった反りの曲線が美しい。こけし界の大先輩からは不評であった小さい肩の山もこのこけしでは良くマッチしている。最後に表情。一側目の優しい筆致が穏やかに微笑んでいる。
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