第241夜:新山家の戦前のペッケ(久志と茂)
弥治郎系新山家のペッケは小寸こけしの中でも形態・描彩が良くマッチして愛らしいこけしの筆頭に挙げても良いと思う。同じようなペッケでも、やはり作る工人によって個性は出てくるもので、各工人のペッケを集めるのも楽しいものである。今夜は、戦前の新山久志と茂のペッケを紹介しよう。茂は大正9年生まれの久治の二男で久志の弟にあたるが、25歳で戦死したために残るこけしは少ない。口絵写真はその茂のペッケの表情である。
先ず、茂のペッケから紹介する。大きさは3寸。「愛玩鼓楽」1309の現品で昭和14年作。胴裏に「新山茂作」の署名がある。木地形態はやや太目で小品ながら存在感に富む。面描の筆致強く、若々しい表情である。若くして戦死したのが惜しまれる。
次は、久志のペッケである。大きさは茂と同じ3寸。胴底一杯に貼り紙があり、そこに印刷された説明書きがある。「・・・作者は新山久志氏です。(昭16.3)」と読める。茂に比べて細身の木地形態で均整がとれている。筆致は細く鋭く緊張感に溢れた表情である。
« 第240夜:久城のペッケ | トップページ | 第242夜:新山享のこけし »
「弥治郎系」カテゴリの記事
- 第582夜:日の丸丹頂…(栄五郎)(2022.07.21)
- 第572夜:栄五郎の逸品!(2022.05.14)
- 第568夜:新山勝祥のこけし(2022.03.17)
- 第563夜:高橋精志の精助型(2)(2022.02.03)
- 第551夜:久し振りの友の会例会(R3年11月)(2021.11.29)
「古品」カテゴリの記事
- 第613夜:今朝吉の小寸こけし(祝!WBC優勝)(2023.03.22)
- 第607夜:「こけしの世界」展に行ってきた…(2023.02.23)
- 第606夜:茂吉がやって来た!(2023.02.15)
- 第604夜:正吉の初期こけし(2023.01.31)
- 第593夜:喜代治が来た!(2022.11.09)
「小寸こけし」カテゴリの記事
- 第613夜:今朝吉の小寸こけし(祝!WBC優勝)(2023.03.22)
- 第607夜:「こけしの世界」展に行ってきた…(2023.02.23)
- 第573夜:第21回紅花の山形路物産と観光展(2022.05.26)
- 第545夜:佳樹さんの伊太郎型(2021.10.16)
- 第530夜:久し振りの直美さん(2021.05.28)
「全て」カテゴリの記事
- 第617夜:「辞典」のこけし(陳野原和紀2)(2023.03.30)
- 第616夜:「辞典」のこけし(陳野原和紀)(2023.03.29)
- 第615夜:久し振りの是伸展(2023.03.28)
- 第614夜:松一さんの初期(戦中)こけし(2023.03.24)
- 第613夜:今朝吉の小寸こけし(祝!WBC優勝)(2023.03.22)
コメント