第240夜:久城のペッケ
昨日(27日)締め切りのヤフオクに新山久治の小寸こけしで出ていた。昭和8年の記載があるもので、昭和一桁代の久治の小寸ものはあまり見かけないこともあってか、7万円を超える価格で落札されていた。弥治郎の新山本家は久治・久志が戦前・戦後と活躍し、久志の息子の久城、慶志、亨もその伝統を引き継いでこけしを作っていたが、今は誰も作っていないようだ。先日の友の会例会の中古品のコーナーに新山久城のペッケが出ていた。久治を彷彿させる出来栄えに目を付けていたが、自分の順番まで残っていてくれたのはラッキーだった。今夜は、そのこけしを紹介しよう。口絵写真は久城ペッケの表情である。
新山久志の長男である久城は昭和17年の生まれで、昭和32年から木地修業を始め33年から久治型のこけしを作り始めたとある。30年代の初めからということで、こけし制作は存外古いものであるが、30年代後半に目に木片を入れて傷つけてしまってから作行きが変わったようだ。
こちらが本項のこけし。大きさは4寸。胴の括れた典型的なペッケである。底には「34.2.8」の書き込みがあり、こけしを作り始めてからそれほど日が経っていない時期の作品である。木地形態といい、ロクロ線と襟・裾の描彩といい、久治の伝統を忠実に引き継いでいるのが分かる。昭和30年前後は、久治、久志とも戦後のピーク期を迎えて充実したこけしを作っており、その良さが久城にも表れている。
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