第245夜:今年最初のこけし(石蔵)
ここ数日、北陸地方の豪雪が報じられているが、その北陸に9日から2泊3日で蟹ツアーに出掛けて来た。場所は松尾芭蕉で有名な加賀温泉郷(石川県)の山中温泉。初日(9日)は雪など何処にも無く冬らしい気配も無かったが、夕方から雪交じりの雨が降り出し、翌朝起きてみると一面の銀世界。全く一夜にして真冬になってしまったような感じで雪国の厳しさを思い知らされた。帰宅がもう半日遅かったら大変なことになっていたかも知れない。その9日の夜にヤフオクで石蔵こけしの締め切りがあり、旅先でもあったので間際にスマフォで入札したら運よく落札となり、今年最初の入手こけしとなった。今夜はそのこけしを紹介しよう。
蟹ツアーのメニュー。タグ付きで有名な加能蟹ではなく普通のずわい蟹。
雪が降り出した10日の山中温泉ゆげ街道。
こちらが今回入手した石蔵こけしで大きさは6寸。胴底と胴裏に「小椋石蔵」の焼印が押されてあり、「昭和15.7.14」の書き込がある。全体的に丸みがあり柔らかで女性的なこけしである。石蔵こけしは昭和10年の復活作から、角張った木地形態で胴全面に細かい模様を緻密に描き、刺すような鋭い視線のこけしが多いが、本項のこけしはそれらとは一味違う雰囲気を持っており、そこに惹かれた。胴模様も赤い花、緑の茎葉に黒い3点は大振りにぼってりと描かれており、油絵を思わせる。
千夜一夜(1)第268夜で紹介した石蔵(左、尺)と並べてみた。こうして並べると上述した両者の違いがお分かり頂けると思う。昭和10年の復活から14,5年あたりまでは左のような鋭角的なこけしであったのが、15年くらいからは右のように変わっていったものと推測される。但し、右のようなこけしはあまり見られないようだ。
« 第244夜:日本の郷土玩具 | トップページ | 第246夜:小林英一のこけし »
「木地山系」カテゴリの記事
- 第565夜:北山賢一の久四郎型2本(2022.02.24)
- 第551夜:久し振りの友の会例会(R3年11月)(2021.11.29)
- 第540夜:三春さんの近作(石蔵写し2)(2021.08.11)
- 第539夜:三春さんの近作(石蔵写し)(2021.08.09)
- 第471夜:こけし界の二刀流(奈良吉弥2)(2020.08.06)
「古品」カテゴリの記事
- 第572夜:栄五郎の逸品!(2022.05.14)
- 第569夜:折り紙付きのこけし(吉太郎)(2022.03.23)
- 第566夜:佐藤孝之助のこけし(2022.02.25)
- 第562夜:盛秀の初期こけし(2022.02.01)
- 第561夜:盛秀の開き目こけし(2022.01.31)
「その他」カテゴリの記事
- 第567夜:「国恵志堂ブックス」別冊『福寿物語1』配本(2022.03.16)
- 第560夜:高橋仲代のこけし(2022.01.10)
- 第559夜:2022年元旦(髙勘古作)(2022.01.01)
- 第558夜:千代五郎のこけし(2021.12.29)
- 第557夜:「国恵志堂ブックス」第4回配本(2021.12.27)
「全て」カテゴリの記事
- 第572夜:栄五郎の逸品!(2022.05.14)
- 第571夜:半澤工人の亥一型(2022.04.19)
- 第570夜:政弘さんの松之進写し(2022.04.01)
- 第569夜:折り紙付きのこけし(吉太郎)(2022.03.23)
- 第568夜:新山勝祥のこけし(2022.03.17)
コメント