第254夜:直志の初期こけし(戦前)
蔵王系の岡崎直志のこけしを知ったのは、栄治郎型のこけしに興味を持ち、それを重点的に集め始めた頃であった。その後、直志は義父久太郎の型を作るのも知ることとなった。直志は昭和15年頃からこけしを作るようになったが、戦前のこけしは多くは無いようで目にすることも殆どなかった。戦前の直志こけしを初めて見たのは2年半ほど前の友の会のこけし談話会で岡崎久太郎・直志を取り上げた時であった。その素朴な作風に触れ、機会があれば入手したいと思っていた。先日のヤフオクで念願の戦前直志を入手できたので紹介したい。口絵写真はその表情である。
こちらが直志のこけしである。大きさは5寸7分。童宝舎の「コレクション図集」のNo207に掲載されているものである。戦前直志のこけしはKokeshi Wikiに作例が掲載されており、深沢コレクションにある15年7月作が初作に近いものであるようだ。本作は表情から見るとそれとほぼ同時期のものと思われるが、頭が手絡模様のものは数が更に少ないようだ。鬢は大きくバッサリと描かれ、顔の面積は狭い。眉・目・鼻・口は素直に描かれ純真な瞳のあどけない表情が好ましい。
こちらは頭部の描彩。前髪は頭頂部の丸い赤点から左右に振り分け、後髪は赤点から後方に纏めて垂らしている。赤点からは赤い手絡が放射状に描かれるが、真横の1本が特に長くなっているのに気付いた。もう1点、赤い鬢飾りが、向かって左側は水平に6筆で描かれているのに対し、右側では上から下に流して下部が跳ねている。前述のこけし談話会でも、久太郎のこけしでこのような様式は見られなかったような気がする。
こちらが胴底の写真。« 第253夜:鉄則さんの長おぼこ型 | トップページ | 第255夜:友の会2月例会(H30)祝!カーリング女子<銅> »
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コメント
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頒布会のその後はどうなりましたか?
投稿: だるま三昧 | 2018年2月22日 (木) 22時48分
こんにちは。横の髪飾り、幾雄さんが描く久太郎型と形態が同じですね♪胴底に旋盤の爪痕はありますか?
投稿: しょ〜じ | 2018年2月23日 (金) 20時49分
だるま三昧様
お待たせしております。3月に千葉そごうに是伸さんが来る折、試作品を見せて貰うことになっています。その後、頒布品の製作になると思います。今暫く、お待ち下さい。
投稿: 国恵 | 2018年2月24日 (土) 09時50分
しょ〜じ様
幾雄さんの久太郎型鬢飾りは知りませんでした。それにしても、久太郎がどうしてこのような描き方をしたのか、その理由が知りたいですね。胴底は綺麗に削られていて旋盤の爪痕は無いようです(写真を掲載しました)。
投稿: 国恵 | 2018年2月24日 (土) 09時59分
ありがとうございますm(__)m。旋盤の爪痕は尺などの大寸物だけかもしれませんね…。
投稿: しょ〜じ | 2018年2月24日 (土) 16時41分