第252夜:守正さんの静助型
正月の本ブログ(第243夜)で佐藤守正さんの追悼を兼ねて直治型を紹介した。その守正さんの静助型を先日ヤフオクで入手した。守正さんは第二次こけしブームの頃には遠刈田系の人気工人であり、そのこけしの入手も簡単ではなかった。今回のこけしは保存状態も良く、守正さんの代表作と言って良いほどの作品であったが、応札者は他に1名しかなく、ワンコインちょっとで我が家にやってきた。安価に入手できるのは嬉しい事ではあるが、当時の事を思うと一抹の寂しさを禁じ得ない。口絵写真はその静助型の表情である。
佐藤守正さんは大正15年の生れ、父静助が14歳の時に亡くなってしまったため、叔父の朝倉英次について木地修業をした。こけしは当初は新型風の本人型を作っていたが、30年代に入ってからは父静助の型を作るようになった。
こちらが本項のこけし。大きさは8寸2分。胴底に「49.4.10」の書き込みがある。静助型であるが、角張った頭は雄大で迫力満点である。このような大頭に普通の一筆目では表情が弱いと考えたのであろうか、一筆の真ん中で筆を止めて大きなアクセントを付けたため、キリッとした力の入った一筆目になっている。静助型とは言え、もはや静助のこけしを元にした守正さん自身のこけしに成りきっている。守正さんの力量を存分に感じさせるこけしである。
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