第261夜:きぬさんの英次古型(きぬさん訃報)
27日に朝倉きぬさんの訃報を聞いた。3月23日に満99歳で亡くなったという。人生100年時代と言われ始めた昨今、それに1年を残した大往生であった。25日の友の会例会で、筆者は1本のきぬさんのこけしを入手した。英次作かと思わせる素晴らしい出来のこけしである。勿論、その時にきぬさんの訃報は知らなかった。この1本のこけしを通して、きぬさんが人生の最後の挨拶を友の会にしてきたと思えてならない。また、同日に亡くなった大沼力さんの30年代の優作も入手することが出来た。奇遇である。帰宅して、所蔵の英次の戦前作と比べて驚いた。木地形態、大きさ、描彩までそっくりなのである。今夜はそのきぬさんのこけしを紹介したい。口絵写真は、そのきぬこけしの表情である。
朝倉きぬは大正7年の生まれ。昭和18年に遠刈田の佐藤英次が婿入りして朝倉英次となった。朝倉夫妻は昭和22年に仙台に出て、きぬは新型こけしの描彩を始め、40年から木地修業、43年からは伝統こけしの製作を始めた。
こちら、左が朝倉英次のこけし(昭和初期か)で、右が今回入手したきぬさんのこけし。大きさは6寸8分である。木地形態も良く似ているが、きぬ作は胴がやや細めで肩も撫肩。また頭部がやや長いようである。三段の重ね菊など良く写している。
こちらか頭部の描彩と顔の表情。昭和初期の英次の一側目の可憐な表情を見事に再現しているが、英次より筆が鋭く、また鬢も長いために迫力のある表情になっている。この辺りはもう時代の差なのであろう。きぬ作として出色の出来栄えであり、代表作に挙げられるだろう。
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