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第266夜:幻の岩太郎(2)

Iwataro_kao_yoko_2

仙臺こけし洞の高橋五郎氏には昨年末にこの鳴子古作こけしの写真を送付して作者に関する検討を依頼していた。その返事から、五郎氏は作者を特定したことが分かったが、それが誰かは実際に現物を見てからということになっていた。私としても、鳴子系古作4本の内の1本が気になっており、それと実際に見比べてみたいと思っていた。そうして、第264夜のこけし探求の旅になったのである。五郎氏に会った後には鳴子にも足を運び、長老である大沼秀雄さんと高橋正吾さんにも意見を聞きたいと思っていた。口絵写真は鳴子古作こけしの横顔である。

高橋五郎氏が4本の鳴子系古作こけしを手にしたのは平成23年6月のこと。それらの黒く汚れた煤を取り、隠れていた描彩を詳しく調査し、その内の1本は岩蔵旧作、他の3本は更に古い作と結論付け、こけし手帖618号(平成24年7月)で発表した。その岩蔵旧作はKokeshi wikiの大沼岩蔵の項に載っている。その岩蔵旧作のこけしの頭の形と頭部の描彩が今回入手した古作こけしとよく似ており、比べてみるのが目的の1つであった。

Iwataro_iwazo_hikaku

それでは、両者を並べて見よう。大きさは左6寸、右6寸5分である。五郎氏蔵(右)が細身でスラっとしているのに対し、筆者蔵(左)は全体的に太目でどっしりとしている。頭は共に典型的な蕪形、胴は中央部やや下辺りで微かに反りが入っている。肩には鉋溝が1本入っているが、右が細目なのに対し、左は太く深い。

Iwataro_iwazo_kao_hikaku

次に顔の表情を比べて見よう。右は細身で縦長、左はふっくらとしてやや横長であるが顎下のカーブはほぼ同じで典型的な蕪形ある。前髪は簡単な櫛形、そこから後方に2筆の結髪が伸びる。水引は左は前髪と結髪の接点から左右に5筆ずつ大きく描かれる。右も鮮明では無いが同じような描彩に見える。鬢は左は左右3筆ずつだが、右は向かって左が3筆、右が4筆である。一筆描きの眉・目、二筆描きの鼻、紅の口は良く似ている。

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こちらは両者を横から見たところ。肩の鉋溝の上に引かれた赤点(投げ筆)は両者ともかなり長く、正面から見ると胴幅一杯まで延びている。胴模様は左が石竹、右が菊であるが、両者とも畳付きに接して土玻が描かれ、そこから茎・葉が伸びている。土玻および茎・葉の色は、左が緑で右は紫である。

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五郎氏蔵の更に古いと思われる古作(右)と3本並べてみた。筆者蔵の古作の肩の鉋溝は斜めに入っており、これは右の古作の入れ方に近いように見えるが・・・。

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岩蔵の復活直後の作(右)と並べてみた。こちらの岩蔵は左と同様に肩の鉋溝が上から斜めに入っている。

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庄司永吉の自挽き作と並べてみた。頭の形など違いは見られるが、全体の様式は同じと言えるだろう。

そして、肝心の五郎氏の見立ては五郎氏蔵岩蔵旧作と同じ「岩蔵旧作」で、五郎氏蔵よりやや後の作ではないかということであった。

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コメント

こうしてみると、永吉よりは岩蔵に近い感じがしますね。高橋五郎さんが「岩蔵」と見立てたのも頷けます。
時代はやはり明治期でしょうか?。何れにしてもこういう時代物は滅多に市場に出ないでしょうね、ヤフオク
侮るべからずです(笑い)。

益子 高様
明治期のものであることはほぼ間違いないようですが、
作者は「岩蔵」で決定という訳にはいかないようです。
その辺りの話は次回です。

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