第268夜:保裕さんの広喜写し
昨日から5月に入り平成もあと1年を割ってきた。来年の今日はもう平成ではないと思うと感無量である。さて、佐藤保裕さんから広喜こけしの写しが届いたので紹介しよう。平成28年の正月に友の会の例会に来られた時に頼んだもので足掛け3年掛かったことになる。新しいものを作るというのは心づもりもあるであろうし、やはり面倒なことでもあるのであろう。しかし、送られてきた作品は、それだけの期間を要したに足る素晴らしい出来ばえのものであった。口絵写真はその広喜写しの表情である。
今回の写しの「原」となったこけしは、平成27年にヤフオクに纏めて出品された正末昭初の極美古品の内の1本である。その時には広喜のこけしは都合6本出品されていた(第21夜参照)。
今回は7本作って貰い、その内の2本を原こけし(中央)と並べてみた。大きさは6寸。正末昭初の広喜こけしは、角張った頭に鬢を真横に描いており、正面から見ると鬢が見えない程で、その分顔の面積が大きくなっている。切れ長の眉と目は上下にかなり接近しているが、左右には開いている。後年、ややコケティッシュな雰囲気を持つ広喜こけしも、この時期にはおっとりとした中にも風格のある表情となっている。筆力のある保裕さんは、その雰囲気を見事に再現しており、鋭さでは原を上回るほどである。
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