第271夜:「是伸頒布会」第6回裏話
第6回頒布こけしは、橘頒布期の定寸こけしを「原」としてその写しを是伸さんに作って貰った。その「原」こけしとしては当初、橘旧蔵のこけし(「こけし談叢」掲載の8寸7分)を考えていたが、それは保存状態がかなり悪く、描彩もはっきりしていなかった。そんな折、たまたま「愛玩鼓楽」掲載の盛こけし(7寸8分)を入手する機会があり、このこけしは橘頒布の鈴木鼓堂旧蔵品であることから、こちらを「原」として作ってもらうことにした。口絵写真は、そうして出来上がった頒布品の表情である。
是伸さんから、頒布品の試作の写真が送られてきたのは昨年の6月になってから。お父さん(是隆さん)の一周忌が終わってからのことである。それから、メール添付の写真と電話で修正を行っていった。現物で確認したのは今年の3月に是伸さんが千葉そごうに来た時である。その時点でほぼ完成に近づいていたが、更に2,3点の修正をお願いして最終作品となった。
こちら、右端は「原」こけし。左端は最初の試作品の頃。未だ頭の形も平頭になりきっておらず、胴模様の菊花も不安定な状態。表情も普段の是伸さんのものに近い。左から2番目は今年の3月に千葉で確認した頃の作。ほぼ完成に近づいているが、頭の形、面描、胴模様をもう少し突き詰めて欲しいと話した。また、肩部の赤ロクロ線は角は地色が残るように修正を依頼した。そうして出来上がったのが左から3番目の頒布品である。その右の「原」と比べても遜色のないレベルまで来たと思う。
頭頂部の水引を見て頂きたい。「原」の水引が良く見えないため、試作品では左2本のような筆元に白地は見えるものであったが、頒布品では小さく纏めて集中度の強いものに修正されていた。これは特に指摘したものではないので是伸さんに感謝したい。
盛の古作こけしを見ていると、眉・目・鼻・口が中央に寄って鋭い表情になっている。今回の「原」こけしは目が水平であるために強い表情には見えないが基本は同じである。是伸さん(是隆さんも)の表情は両目の間がやや開いていて、大らかで愛らしいものが多い。そこで今回の写しではその点にも特に気を付けて頂いた。写真の右は試作品の1本であるが、平頭の形と表情はかなり突き詰めたものになっている。表情に関してはこれを最終目標としたが、頒布品ではもう少しおとなしい表情で仕上がったようである。
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