第277夜:秀顯さんの岩太郎型
鳴子の大沼秀顯さんは還暦を迎えてから大沼家の古作こけしの復元に力を入れている。大沼家の祖である岩太郎のこけしと言われているもの(伝岩太郎)はこれまで4種知られていた。秀顯さんが先ず手掛けたのは、その中で木地竹雄と言われている元村勲教授蔵の4本で、最も大きいものから初めて今年になって4本全てを作り上げた。今年になってからは残る3種を大阪こけし教室の依頼で復元していた。17日に「ねぎし」に行った折、その3本が出品されており入手したので紹介しようと思う。口絵写真は、川口コレクション所蔵の伝岩太郎写しの表情である。
今回の3種の伝岩太郎こけしの写しは名古屋こけし会の尽力により、大沼秀雄さんと桜井昭寛さんが復元しており、それらは千夜一夜(1)の第365、366、367夜で紹介しているので、詳細はそちらを参照願いたい。
(1)第365夜で紹介の丹羽善一氏蔵品(6寸3分)の写しで、左から秀雄作、秀顯作、昭寛作である。胴の横にはススキのようなものが描かれているそうだが、今回の作には描かなかったとのこと。今後の作には追加されるかも知れない。
(2)第366夜で紹介の川口貫一郎氏蔵品(5寸7分)の写しで、左から秀雄作、秀顯作、昭寛作である。秀雄作は「原」を元に作っているので忠実な写しである。秀顯さんのは秀雄作を元に作ったとの事で木地がやや太目に仕上がっているようだ。
(3)第367夜で紹介の<奥羽旅情>に掲載された深澤要の版画のこけしを元に作られたもので、「原画」は子寿里庫(岸本コレクション)の岩太郎と思われるこけしのスケッチと言われている。左から秀雄作、秀顯作、昭寛作である。もとにしたのが「絵」であるために大きさ、描彩とも各工人がかなり自由に作っているようだ。
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