第273夜:久志のこけし(ピーク期か)
今日から6月になった。こけしの文献等に、こけし界の先達たちによって「ピーク期」だとか「佳作」などと評されているこけしはやはり気になるし、出来る事なら手元に置いて鑑賞したいと思うものである。弥治郎系の新山久志のこけしも中屋惣舜氏によって「木の花(第拾四号)」の「ピーク期のこけし(1)」に取り上げられている。そこでは久志の昭和30年の8寸が「ピーク期のこけし」として紹介されている。5月の友の会例会の入札にそれと同型と思われるこけしが出品されていた。口絵写真はその入札で入手した久志こけしの表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは8寸。目尻・眉尻が上がり、眼点は中央に寄って鋭い表情である。赤の鬢飾りは2筆で襟に飾りは無く、「木の花」掲載の久志を彷彿させるこけしである。ただ、胴底には「32.7」の印と「42才」との書き込みがある。Kokeshi wikiでは、昭和29年から30年が久志のピーク期と呼ばれ、「昭和29年は目がやや釣りあがって緊張感ある表情、昭和30年は大振りの頭のゆったりとした表情で・・・」と解説され、30年作の写真が掲載されている。
さて、国恵志堂では、これまで昭和31年作までは入手していた。写真の右と左である。Wiki写真の30年作と比べて眉目の湾曲が大きく眼点も大きくなっている。また、鬢飾りは3筆となり襟にも赤2筆の飾りが付いている。このような作行きの流れから考えると、本項のこけしは昭和30年の早い時期のもので、「木の花」作よりは後でWiki作よりは前のものと考えるのが妥当である。そうすると本項のこけしの底に押された日付印(32.7)は入手日ということであろうか…。
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