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第283夜:郷玩時代のこけし(高橋武蔵) 

Takezo_s3_kao

毎日うだるような酷暑が続き、「億劫」と戦っている高齢者はともするとぐったりしたまま日々を過ごしてしまうことになる。西日本の豪雨で被災された方々を想い、何とか気力を振り起して頑張らねばならない。さて、鳴子の高橋武蔵のこけしと言えば「温顔静姿」という言葉で代表されるように、端正で穏やかな表情のこけしが頭に浮かぶ。しかし、それは主に戦後のこけしに当てはまる言葉であって、戦前のこけしとは少し異なるようだ。戦前の武蔵こけしの特徴はむしろ下目にあるのではないかと思う。そして、それは幼子の表情を表現したものなのであろう。今夜は、内嶋玉峰旧蔵の武蔵こけしを例にして下目を見てみたいと思う。口絵写真はその武蔵こけしの表情である。

Takezo_s3_2men

こちらが、そのこけしの全体像である。大きさは7寸6分。下目で目尻が下がり、さらに右目が左目より下がっているのが特徴で、昭和3年頃の作と思われる。頭は角張ってやや縦に長く、左右の目の間隔は狭くなって前髪と眉との間が大きく開ている。眼点大きく、あどけない表情である。頭に合わせて胴もやや細め、鉋溝は無く胴上下に太い赤と緑のロクロ線が引かれている。胴に黄色は塗られていないようだ。外下がりが大きい花弁の三段重ね菊が描かれている。緑の土玻と二段目の添え葉から左右に蔓が描かれているが、これは花弁の部分で切れており、蔓が花の裏側にあることを表わしている。武蔵の他のこけしも同じかどうかは個々に見て見ないと分からない。

Takezo_s3_hikaku

さて、他の戦前の武蔵こけしと並べてみよう。中央が本項のこけしで右は中屋旧蔵の8寸(正末昭初)、左は尺8分(昭和10年頃)。

Takezo_s3_kao_hikaku

表情を特出しで比べてみよう。ご覧のように、みな下目であることが分かると思う。右と中央では眼点が大きく、似た雰囲気に見えるが、右では左右の目が同じ高さで左右の間隔が広い。また前髪と眉との間隔も中央のこけしほどは開いていない。この下目の愛らしい表情は昭和5年頃にピークに達し、やがて左のこけしのように眼点が小さくなり、左右の目も揃い、目尻の下がりも少なくなって、大人びた端正な表情に変わっていく。武蔵のこけしが人間のように成長して行ったと言うことが出来るのかも知れない。

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