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第280夜:今三郎型のこけし(西日本豪雨)

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関東地方は6月中に梅雨が明けて夏空が覆っていたが、西日本はその後の台風によって梅雨前線が停滞し未曽有の豪雨に見舞われた。その被害は尋常ではなく170人を超える方が亡くなり、今なおその数は増加している。復旧作業も本格化してきたが、被災された方々には心よりお見舞い申し上げる。さて、前回は幸太型の話をしたので、その繋がりで今夜は今三郎型の話をしたい。とは言え、国恵志堂に今三郎のこけしは無く、後継者たる佐藤辰雄の今三郎型である。口絵写真は辰雄の今三郎型の表情である。

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こちらの2本は佐藤辰雄の今三郎型2種。共に頭頂部がベレー帽状のロクロ模様ではなく手描き様式のものである。2種の内、向かって右は「こけしの美」カラー頁掲載、左は同じくモノクロ頁掲載の今三郎こけし(共に8寸6分)の復元品と思われるが、大きさは共に8寸となっている。右こけしは、頭がやや縦に長く胴は直線的で裾に向けて広がっている。胴下部には2本の鉋溝があり、ロクロ線だけの胴模様は幸太型を思わせる。左はやや横広の頭で、胴はやや丸るみを帯びながら胴裾に向かって広がっている。胴下部の鉋溝は無く、着物を両側から合わせ胸の部分で結んだような模様(X模様)である。幸太型からの関係では、右が先に作られ、その後左のX模様が作られたような気もするが判然としない。辰雄がこの今三郎型を作ったのは昭和30年代の後半の頃であろうか。左の表情はおとなしく控え目であるのに対し、右では筆に勢いが付き表情も集中度が強い。

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頭頂部の手描き模様を比べてみた。右の今三郎型の方が遥かに大きい。なお、この右の今三郎の現品は鳴子のこけし館の深沢コレクションの中にある。

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こちらがその現品である。頭頂部の手描き模様は大きく、辰雄はこれを良く写しているのが分かる。

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