« 第280夜:今三郎型のこけし(西日本豪雨) | トップページ | 第282夜:郷玩時代のこけし(内嶋コレクション) »

第281夜:高橋きくゑのこけし

Kikue_s12_kao

6月の友の会例会、入札コーナーに行ってみると、高橋きくゑのこけしが並んでいた。他にも、小椋久四郎、高亀系の古品たちこ(武蔵か)、佐藤吉雄などの戦前作があって、懐具合が気になる豊作であった。高勘ラブの筆者の狙いは勿論きくゑで、古品はこれ1本に絞って入札した。久四郎などもあったお陰か、何とか落札できて胸を撫でおろした。大正5年に盛と結婚したきくゑは7人の子をもうけた一方で、早くから盛を助けてこけしの描彩を行い、こけし界に知られていた。口写真は、きくゑこけしの表情である。

Kikue_s12_2men

こちらがそのこけし。大きさは6寸4分。Kokeshi Wikiに掲載されている西田記念館蔵のきくゑと同手のこけしである。従って昭和12年の作か。やや縦長の丸い頭に反りの少ない真っ直ぐな胴で、すらっとしたこけしに仕上がっている。左右に振り分けた前髪に3筆で長めの鬢を描き、眼点は上瞼から盛り上がってアクセントとなっている。女性らしいおっとりさを見せながらも芯の強い表情になっている。胴は上下に赤と緑でロクロ線を引き、肩上面も赤が塗られている。胴には黄色が塗られているようだ。胴模様は楓を二葉、上下をややずらして動きを与えている。

Kikue_s12_hikaku

きくゑのこけしを2本並べて見た。左は旧ぽっぽ堂コレクションの6寸。同じ雰囲気を持ったこけしであるが、左では上瞼が短いため眼点が目立ったクリクリ目に見える。口は左は極小の赤点であるが、右では赤2点になっている。また、胴模様の楓が左では大胆に胴一杯に描かれているが、右ではやや小さめで丸みを帯び整った形になっている。

Kikue_s12_atama_hikaku

なお、頭頂部の赤い水引は、盛は5筆描きであるが、きくゑは両者とも4筆描きである。

« 第280夜:今三郎型のこけし(西日本豪雨) | トップページ | 第282夜:郷玩時代のこけし(内嶋コレクション) »

鳴子系」カテゴリの記事

古品」カテゴリの記事

全て」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第281夜:高橋きくゑのこけし:

« 第280夜:今三郎型のこけし(西日本豪雨) | トップページ | 第282夜:郷玩時代のこけし(内嶋コレクション) »

最近のトラックバック

2025年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28  
無料ブログはココログ