第285夜:郷玩時代のこけし(小椋久四郎)
もう50年に近づくこけし蒐集歴の中で古品に目を向けるようになったのはその三分の一位の年数ではないだろうか。鳴子ファーストを自認する国恵志堂として、鳴子の古品には力を入れてきたが、その分他系統の古品はおざなりになっている。最大の要因は資金繰りであり、それは致し方のないことで、古品コレクターなら一本はあるであろう久四郎も諦めていた。さて、今回の玉峰コレクションではひと目で久四郎こけしと思われたが、胴底の鉛筆書きでは久太郎となっており、現品を見るまでは期待と不安が入り混じっていた。今夜は、その久四郎こけしを見てみよう。口絵写真はその表情である。
先ず、胴底の書き込みをご覧いただこう。墨で「秋田 木地山」と書いてあり、別に鉛筆で「小椋久太郎 S5-8」とある。このこけしが玉峰宅から他に出た可能性はなさそうなので、玉峰が書いたものかも知れない。昭和5年と言えば、久四郎は健在で有名な「しばた頒布」によって、かなりの数の久四郎こけしが各地に送られた時期であり、福井在住の玉峰に元にも送られたと考えられる。そのこけしを何らかの理由で間違って久太郎と書いたのであろうか…。
さて、こちらが本項の久四郎こけしである。大きさは8寸3分。典型的な久四郎こけしと呼べるものではないだろうか。ただ、「こけし古作図譜」掲載の「しばた頒布」の3本の久四郎を見ると、概ね頭頂部が平たい形になっており、本項の久四郎とはやや頭の形が異なる。また、本項の久四郎では上の2つの梅花と下の3つの梅花の間に緑4点の模様が左右に一つずつ描かれているが、「こけし古作図譜」の久四郎には見られないなどの相違点はある。
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