第293夜:辛口のこけし(吉弥)
今夜のこけしも昨夜の治平と一緒に入手したもの。「こけし鑑賞」にて鹿間時夫氏から剛直派の代表として、松之進についで挙げられていた二人の内のもう一人の佐藤吉弥のこけしである。奇しくも、治平と吉弥が揃って出てきたのは何かの縁か…。吉弥は大正時代からこけしを作っていたようだが、古いものは残っておらず、戦前作では「鴻」第八号で紹介されている昭和14年作が復活初期の作であるようだ。戦前作は数が少ないせいかあまり評価されておらず、むしろ戦後の昭和30年の復活から31年くらいまでの作が評価が高い。口絵写真は61歳作の吉弥こけしの表情である。
こちらが今回のこけしである。大きさは9寸。61歳の署名があり、32年作か。Kokeshi wikiには31年作と32年作が紹介されているが、その差は結構大きい。32年作になると、先ず頭が横長から縦長に変わり、肩も撫肩となる。胴上下のロクロ線も黒から赤に変わり、眼も湾曲が大きくなって優しい表情となってくる。本作では、頭はやや横長気味であるが肩は撫肩、胴のロクロ線は黒であるが、眼は湾曲が大きくなっているなど、典型的な31年作と32年作の特徴が混ざっており、その移行期の作と思われる。
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