第300夜:弘道のえにし
こけしのえにし(縁)の話はよく聞くことであるが、今回もそんな縁の繋がりである。23日の東京こけし友の会の例会に出掛けると、入札品コーナーに「弘道の微笑み」が立っていた。弘道と言えば、第298夜で先日入手した珍しい表情の弘道を紹介したばかりである。それが呼び水となって、この弘道との出会いが会ったのであろうか。33年~34年の弘道は国恵が愛するピーク期のこけしであり、機会があれば成るべく入手してきた。今回の作は6寸物で未だ持っておらず、入札を頑張って入手できた。口絵写真は、その弘道の表情である。
こちらが、その弘道こけしである。大きさは6寸、胴底の署名から昭和34年1月5日作と分かる。赤の波線と紫のジグサク線を3段に重ねた太治郎本型であるが、6寸のためか一番上は赤線2本だけで間の波線は描かれていない。頭は縦長でかなり角ばっている。胴は下から三分の一辺りが膨らんだエンタシス形。やや頭が長いような気もするが均整の取れた形である。面描では前髪の数が多く、その両端からは太い鬢が顎の辺りまで伸びている。眉は大きく、目尻はやや垂れ気味でおっとりとした静かな笑顔である。
第298夜の弘道と並べてみた。頭の大きさ、胴の膨らみ具合、面描など雰囲気はかなり異なる。明るさ・元気さという点では右の弘道の方に軍配が上がるかも知れない。
同じ34年の弘道と並べてみた。右は34年2月6日作、左より一か月程後の作である。同じ6寸物であるが太子型であるためか、胴の形態の他、頭もやや横に広がった形になっている。そのためか、左右の目と目の間隔が広がり、垂れ目具合もやや緩和して表情に若々しさが増してきたようだ。ほんのちょっとした違いなのだろうが、受ける印象が違ってくるのは面白い。
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