第323夜:戦後の力蔵こけし
こけしは1本で眺めても良いし、群像として見るのも迫力があって良い。一方で、一対のペアとして対峙するのも趣があってなかなか良い。ここ数回連載した、栄治郎型を手絡頭と黒頭のペアとして並べて鑑賞するのもその一例である。このペアの組み合わせは色々と考えられるが、同じ大きさのものを並べるのは王道である。蔵王系の中で橋本力蔵のこけしは戦前から作られており、横分けした黒頭と剛直な風貌から人気が高い。国恵も戦前作が欲しいものの今だにコレクションに加えられないでいる。今夜は戦後の力蔵こけしをペアで紹介しよう。口絵写真は戦後力蔵の表情である。
こちらがその2本である。大きさは8寸3分。戦後の力蔵は昭和30年から亡くなる32年頃までのものが残っており、それは温和な表情のこけしであると言われており、上記写真の左のものがそれにあたるのであろう。一方、右のこけしは胴の上部が細目に絞られており木地の形がやや異なる。また、面描の筆致が強く張りのある表情になっている。時期的に左よりもやや前の作か…。
署名を見てみよう。特徴のある「王」の字体が同じことから、2本とも力蔵本人の署名と考えられるが、名前の「力蔵」の字が右では「力造」と書かれているのが興味深い。「造」に「造る(作る)」意味を込めたのであれば面白い。
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