第324夜:乗太郎か(?)
先日の日曜日(16日)に締め切りを迎えたヤフオクに鳴子系の古品が出品されていた。ところが思いかけずこの出品を当日まで知らないでいた。終了まであと数時間の段階でこれに気付き、慌ててウォッチリストに登録してじっくりと眺めてみた。出品の解説では「戦前・高橋武蔵?」となっていたが、戦前の武蔵とは表情から受ける印象が異なり、「高亀」の他の工人のこけしを思い浮かべた。先ず思い当たったのは佐藤乗太郎。しかし乗太郎は残存数が少なく即断は出来なかった。終了までにかなりの確信を持ち、運よく入手に至った。口絵写真はその表情である。
こちらが、このこけしの全体像。大きさは4寸5分。白胴で、胴下部に鉋溝が一本入った「高亀」の小寸物によく見られる形である。頭は縦長の蕪型で、眼点の入った一側目は顔の中央で両目は鬢側に寄っている。端正な表情であり、下目が特徴的な武蔵とは雰囲気が異なる。この表情に一番近いのは佐藤乗太郎と思われたが、もう一つ決め手となったのは胴下部に描かれた土玻である。乗太郎はこの土玻を赤と緑で重ねて描くのである。このような描法は乗太郎以外には見た事がない。本作でもロクロ溝の上に緑で、その上には赤で土玻を描いている。
「高亀」の他の工人のこけしと比べてみた。左は正吾さんの佐竹辰吉写し(本年作、88歳)、右は戦前の武男(武蔵か)作のほぼ同型のもの。辰吉写しの原は「らっここれくしょん」か。それぞれに特徴があって楽しい小寸物である。明日(20日)に89歳を迎える正吾さん。まだまだ元気に「高亀」のこけしを作っている。89歳作のこの乗太郎写しを期待したい。
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