第340夜:小林繁男さんの豆エジコ
これも「こけしの縁」なのであろうか。先日ヤフオクで松三郎の戦前のこけしを入手したばかりなのだが、2月の友の会例会に出掛けてみると、小林繁男さんの松三郎型豆エジコが新品頒布こけしの中に並んでいた。この豆エジコは昨年、とげぬき地蔵尊高岩寺で開催された山形県こけし展でも出ていたようだが人気作品で入手出来なかったものである。今夜は、この豆エジコを松三郎の豆エジコと並べて見てみよう。口絵写真はその豆エジコを前方斜め上から見たところである。
鳴子の伊藤松三郎のこけしは昭和15年に「鴻頒布」で頒布されており、その中に1寸3分ほどの豆エジコもあった。その豆エジコは第222夜で紹介した。繁男さんのエジコはその復元と思われる。
こちらが、その豆エジコである。径は松三郎の「原」とほぼ同じであるが、高さはやや低く、頭が真ん中ではなく後方に付いており、寝そべって上を向いた格好になっている。エジコの中には時々見られる形態ではある。胴は中央に緑の帯を巻いていて、その上下、胴全面にザラ挽きが施されている。表情は小さいながらキリッとしている。 松三郎の豆エジコと比べてみよう。こちらは正面である。胴上面の肩の山は松三郎より低くて広い。ザラ挽きは松三郎は上から下に向かって挽かれているが、繁男さんは左上から右下に向けて斜めに挽かれている。 こちらは横から見たところ。頭の位置関係が良く分かると思う。また、繁男さんは鬢の後に赤い飾りが付いているのが見て取れる。 表情を比べてみよう。松三郎は眉・目はほぼ水平に描かれているが、繁男さんの眉・目には湾曲がある。 最後に胴底である。共に胴底を深く削り込んでいるが、繁男さんの方が深くなっている。« 第339夜:友の会2月例会(H31) | トップページ | 第341夜:親子のこけし(六郷満・仁美2) »
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