第334夜:大沼君子の初期こけし
先月ヤフオクに昭和30年代の鳴子系を中心としたこけしとエジコがかなり纏まって出品されていた。普段見かけないこけしやエジコが含まれていたので、何点かを入手した。それらの幾つかを紹介したいと思う。今回は大沼君子のこけし。前所有者は君子のこけしが好みだったようで10本以上のこけしが入っていたが、その中で極初期と思われるものを取り上げたい。君子は父新兵衛が亡くなってからこけし製作(描彩のみ)を始めたと言うから、昭和32年10月以降ということになる。口絵写真は33年8月の君子こけしの表情である。
君子の初期のこけしとしては、Kokeshi wikiに昭和33年10月2日の作が載っている。今回紹介のこけしは胴底に「33年8月27日」の署名があり、wikiよりも一か月以上早いものである。
こちらがそのこけしと胴底の署名である。大きさは6寸と5寸(2本)である。君子の署名は通常「君子」であるが、この3本は「きみ子」とひらがなになっている。新兵衛のこけしを模したものであろうが、眉目の位置が割合高く溌溂とした表情で好ましい。なお、同じ日に作ったものなのに、右端のこけしは肩の山が低いなど木地形態がやや異なり、また前髪が櫛形で中央部の出っ張りが無く、鬢も下部を揃えた形になっているなど、左2本とは明らかに異なる。新兵衛を参考にして自分流に描いたのであろうか…。
このヤフオク落札品には新兵衛こけしと34年の君子作も含まれていたので紹介しておこう。
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