第341夜:親子のこけし(六郷満・仁美2)
今夜も先日(24日)の東京こけし友の会で入手したこけしの話である。例会の抽選こけしの頒布も半ばを過ぎた頃に筆者の名前が呼ばれた。抽選こけしの中の目ぼしいものは既に無くなっていたが、六郷仁美さんの保存の良い大寸こけしが残っていたので入手してきた。今夜はそのこけしを仁美さんのお父さんの満さんのこけしと並べて紹介したいと思う。友の会の頒布では中古の良品が出てくるのでコレクションの充実に便利である。口絵写真は、その仁美さんのこけしの表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは9寸7分。胴裏に伊勢こけし会の定期頒布ラベルが貼ってある。松之進型のこけしである。「原」は大正期の松之進こけしで、松之進の代表的なこけしとして有名である。伊勢こけし会が写しを依頼して頒布したものであろう。胴底の署名は「佐藤仁美」である。木地形態・描彩とも松之進の「原」の雰囲気を十分に再現しており、仁美さんの力量が窺える。
この松之進こけしの写しは、満さんも作っており、それ(左)と並べてみた。満さんの松之進型も定評のあるこけし、この写しも見事な出来映えである。この型の写しは昭和52年3月から始めた(木の花14号)とのことで、本作はそれから少し後の作であろうか。鬢が外側にあり、その分顔の面積が広くなっていて、眉・目の描線にも伸びがある。一方、仁美さんは鬢がやや内側で、その分面描は中央に寄って集中度が強い。胴の重ね菊模様など「原」に忠実に作られていることが分かる。いずれにしろ、こけしの完成度は甲乙付け難く、あとは好みの問題であろうか。この様な優れたこけしを作っていた仁美さんが現在は休業状態で新作が見られないのは残念なことである。
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