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第342夜:鉄則のちょっと変わった幸兵衛型

Tetunori_kobe_rokuro_kao

3月になったのに雨模様の日が続いていたが、今日は久しぶりに明るい太陽が降り注いで春らしい天気になった。今夜はTBS-TVの「マツコの知らない世界」でこけしが取り上げられるなど、本格的なこけしシーズン開幕を思わせる。さて、今夜は奥瀬鉄則のこけしである。第二次こけしブームの頃、1本の鉄則こけしを入手するためデパートの階段を駆け上り抽選の列に並んで、やっとのことで手に入れた思い出が懐かしい。そんな鉄則こけしも今ではネットオークションでいとも簡単にしかも安価に入手できるのである。喜ぶべきか悲しむべきか…。1月中旬、ヤフオクに幸兵衛型と思しき鉄則こけしが出品され、ちょっと珍しいので入手した。そのこけしを紹介しよう。口絵写真は、そのこけしの表情である。

Tetunori_kobe_rokuro_2men

こちらがその全体像。大きさは8寸。胴中ほどに段があり、胴全体にロクロ線を引いた鉄則こけしは2種類あり、一つは丸頭で胴のロクロ線は太線が主体で開き目のもの、もう一つは頭には髷がありロクロ線は本作と同様のもので潰し目のものである。従って、本作はいずれにも合致しない作なのである。津軽の盛秀こけしのバイブルとも言える「盛秀一家のこけし辞典」の中にもこのような作は見いだせなかった。

Tetunori_kobe_rokuro_hikaku

こちらに同時期(昭和38,9年)と思われる幸兵衛型(右)と並べてみた。形態・胴模様は異なるが、面描はほぼ一緒と言って良いであろう。幸兵衛のこけし、盛秀の幸兵衛型にもこのような形態・胴模様のものは見当たらないので、これは鉄則が何かの拍子に、たまたま作ったこけしなのかも知れない。

Tetunori_kobe_rokuro_syomei_hikaku

両者の署名も見て頂こう。通常は右のように楷書体で名字・名前を署名するのであるが、本作(左)では草書体で名字のみ記している。

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