第344夜:正吾さんの乗太郎写し
昨日、鳴子の高橋正吾さんからこけしが届いた。昨年年末に訪れた折りにお願いした乗太郎写しのこけしである。年明け後、体調を崩されたと聞いていたが回復して作ってくれたそうだ。胴底には「八十九才」の署名が印されている。「高亀」のこけしを中心に、それと関係のある古作の復元に努めて来た正吾さんの作品に、また一品が加わったことになる。平成最後のこの時期に作られた89才作の正吾こけしということでも貴重なこけしである。口絵写真は、その表情である。
こちらが、その「乗太郎写し」のこけしである。大きさは4寸5分。「原」こけしは第324夜で紹介した乗太郎のこけしである。木地形態の再現は実に見事なもの。胴模様のぼってりと描かれた牡丹も素晴らしい。向かって左の添え葉は寝ていて右は立っている描法も忠実に再現されている。「原」では土玻が赤と緑の二色で描かれているのだが、本作では赤一色になっているのが惜しいが、大勢に影響はない。
今回は10本を作ってもらったが、その内の5本を「原」と並べてみた。太筆で描ける胴模様は大きな違いは見られないが、細筆で描く面描にはややバラつきがあるようだ。ひとつには、正吾さんは数年前から目を悪くしていて筆先の落し場所が定まらないという点。もう一つは描き慣れている武蔵の癖が出てしまうという点があるのであろうか…。この5本を見ても、向かって右3本は眉・目の位置が高く乗太郎の趣が出ているが、左2本では眉・目が下がった下目で武蔵の雰囲気が強くなっている。とは言え、武蔵風の乗太郎写しもまた楽しい作品であることに違いはない。
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