第350夜:小椋久太郎のミニチュアこけし
昨夜までの「周辺のこけし」達と一緒にヤフオクに出品されていた小椋久太郎のこけし。他の出品と同様、この久太郎も大小2本のセットとして出ていた。特に小寸の方のこけしが気になって入手したもの。久太郎のこけしは大寸は梅鉢模様が多く、小寸には菊模様が多く、大寸と小寸で作り分けていたように思っていたが、今回のものは小寸にも拘わらずしっかりと梅鉢模様が描かれている。またその表情にも惹かれた。口絵写真は小寸久太郎の表情である。
こちらが今回入手の久太郎2本である。左は4寸、右は6寸6分で胴底に「木地山 小椋久太郎 一二.一.一〇」の筆書きがある。戦前の久太郎こけしの中で、6寸前後のものは本作のように頭は小さめで胴がやや長め、胴模様には菊模様を描いたものが多いようだ。頭頂部に手絡模様は無く、面描も墨一色で簡素である。小さい目、鼻、口が中央に寄って優しい眼差しである。このように小寸物と並べる親子のようにも見える。
では、小寸の方を見てみよう。胴底には鉛筆で「15.4.11 小椋久太郎」と書いてあるようである。4寸という小寸物であるが、面描、胴模様とも手抜きや省略は一切ない。一般的に工人が小寸こけしを作る場合、小寸にあった形態・描彩をするものと大寸物をそのまま縮小したミニチュアにしたものとがある。この久太郎は正にミニチュアである。胴の緑が薄くなっているのが残念であるが、いわゆる団子梅の模様である。頭頂部には赤で手絡も描かれており、小さな口も墨の上に紅を入れている。目は大きめで力強い。右の菊模様のこけしとは対照的である。小寸こけしの場合、その顔は可愛いと言うよりはちょっと「生意気顔」的なものも多く見られ、それも見ていて微笑ましいものである。この久太郎も正にそんな1本と言えるのでないだろうか…。
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