第352夜:西山勝次のこけし
長い間こけしのコレクションをしている中で縁遠いこけしもある。国恵にとっては西山勝次のこけしもそんなこけしの一つであった。勝次のこけしは古品市場でもしばしば出会ったが、出来栄えと保存状態がなかなかマッチせず入手に至らなかったのである。先日ヤフオクに出た勝次のこけしは陸奥売店の印があり、保存状態も上々、勝次としては特に古いものではないが標準的な出来映えであり、軽い気持ちで入札に参加したところ国恵志堂のコレクションに加わることになった。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
こちらがその勝次のこけしである。大きさは7寸2分。胴底には下記のような陸奥売店のゴム印が押されており、昭和16年頃の作と思われる。陸奥売店のこけしは保存状態が良い事で知られているが、本作も保存状態は退色も無くほぼ完璧である。頭頂部が平らの小さめな頭に、三角胴に近い下部が広がった胴が付いている。胴には太い赤ロクロ線と細い緑のロクロ線が引かれアクセントに紫の細いロクロ線が加わる。胴中央部は幅広で黄色く塗られ、そこに赤と緑で花模様のようなものが描かれている。前髪は小さく赤のカセは二重、長い眉は湾曲がなだらかで目は二側目、端正な表情である。その分、初期のような迫力は薄くなっている。勝次としては標準的なこけしと言えるだろう。
胴底の陸奥売店の紫のゴム印である。
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