第349夜:周辺のこけし(河村清太郎)
昨日の新年号(令和)発表以来、日本国中その話題でもちきりである。天皇崩御による改元ではないのでお祝いムード一色で、桜の花とともに世の中華やいだ雰囲気に溢れている。さて、本荘の河村清太郎のこけしは、息子の守、父辰治の弟子の北原鉄造、守の弟子の菅原修とその弟子の佐藤こずえと引き継がれ、もはやメジャーなこけしの一翼を担うまでになっている。明治35年生まれの清太郎は16歳の頃から父辰治について木地修業。以来、大正7,8年頃まではこけしも作っていたがその後は作らなくなり、昭和11年に稲垣武雄氏により発見され、12年より本格的に復活した。今回その12年作を入手したので紹介したい。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。左6寸7分、右8寸2分である。胴裏に「昭和十二年四月 秋田本庄 川村清太郎作」の筆書きがある。鳴子系のたちこを拡大したような形態で頭は嵌め込み、鳴子系と同様、頭が回って「キイキイ」という音もする。大きな前髪に、その両端から鬢を垂らし、頭部には二筆の紡錘状の髪とそれを囲むように赤で同じく二筆の水引を3つ連ねている。大きな眉に点状に見える円らな瞳。純真な女児の可憐な表情である。右の胴模様は楓。大振りの人手のような赤い外縁とその中に緑で葉脈を入れている。簡素な模様が素朴な表情とよくマッチして昔日の面影を醸し出している。左の模様は絣と言われているもので、緑の退色が残念である。
こちらが胴裏の署名である。清太郎自身によるものかは分からない。
« 第348夜:周辺のこけし(鈴木国蔵・幸太郎) | トップページ | 第350夜:小椋久太郎のミニチュアこけし »
「鳴子系」カテゴリの記事
- 第501夜:ネットで本作り!(プレゼントあり)(2021.01.16)
- 第500夜:福寿の新伝統こけし(2021.01.14)
- 第498夜:2021年元旦(松一こけし)(2021.01.01)
- 第497夜:健三郎のこけし(2020.12.31)
- 第496夜:面長の優しい忠こけし(2020.12.30)
「古品」カテゴリの記事
- 第502夜:今年最初の古品こけし(鎌田文市)(2021.01.21)
- 第498夜:2021年元旦(松一こけし)(2021.01.01)
- 第497夜:健三郎のこけし(2020.12.31)
- 第496夜:面長の優しい忠こけし(2020.12.30)
- 第495夜:斉司の初期作(戦前)(2020.12.29)
「その他」カテゴリの記事
- 第501夜:ネットで本作り!(プレゼントあり)(2021.01.16)
- 第500夜:福寿の新伝統こけし(2021.01.14)
- 第498夜:2021年元旦(松一こけし)(2021.01.01)
- 第478夜:秋保の三姉妹(武治)(2020.09.16)
- 第475夜:熊谷仁奈さんの木地挽物(2020.08.29)
「全て」カテゴリの記事
- 第502夜:今年最初の古品こけし(鎌田文市)(2021.01.21)
- 第501夜:ネットで本作り!(プレゼントあり)(2021.01.16)
- 第500夜:福寿の新伝統こけし(2021.01.14)
- 第499夜:栄治郎型の仲間入り(木村祐助)(2021.01.09)
- 第498夜:2021年元旦(松一こけし)(2021.01.01)
たしか、店の表示は「川村はきもの店」ですね。
投稿: しょ~じ | 2019年4月 2日 (火) 23時15分
しょ~じ様
流石に「しょ~じさん」!
そこまでは知りませんでしたよ(笑)
投稿: 国恵 | 2019年4月 3日 (水) 15時23分