第366夜:戦後の黒田ウメノと正司さんの写し
現在自宅で安静中なので、滞っていた本ブログの更新を進めておこう。懇意にしている米沢の長谷川正司さんは昨年後半から体調を崩し、この冬シーズンはこけしを作っていなかった。その正司さんから電話があり6/9にこけしが送られてきた。今年の1月に訪問した折に預けて来た黒田ウメノのこけしの写しである。早速電話をすると、暖かくなって体調も良くなりこけしも作り始めたとのこと。声にも張りがあり元気さが伝わってきた。鳴子のこけし祭りコンクールにも出品したいと話していた。山形系は後継者難が深刻で、現在作っているのは小林清さんと長谷川正司さんくらい。先ずは喜ばしいことである。口絵写真は、黒田ウメノの表情である。
小林吉太郎の弟子であった黒田ウメノは戦前の昭和15,6年頃から、吉太郎や他の吉太郎の弟子達の木地に吉太郎型の描彩を行っていた。戦後は昭和39年と44年に描彩したこけしが知られている。
こちらが黒田ウメノのこけし。大きさは5寸8分で胴底に鉛筆で「黒田ウメノ 吉太郎型」との記入がある。kokeshi wikiには昭和44年作のウメノのこけしが載っており、猫鼻で大きさ・形・胴の描彩も同じことから、本作も同時期に作られたものと思われる。ただ、wiki掲載のウメノは眉尻・目尻が下がった愛嬌のある優しい表情のこけしである。一方、本項のこけしは女性らしい細い筆致ではあるが、眉・目に張りがあり吉太郎を思わせる秀作である。なお、赤い描彩は絵の具を使っていたのではないかと正司さんは言っていた。
さて、こちら(左右の2本)が正司さんの写しである。復元作を含めて各種の吉太郎型を作り、日下源三郎や坂部政次の写しもこなし、黒田ウメノの写し(第796夜)も作っている正司さんであるが、このウメノは初めてとのことであった。木地形態と同の描彩は手慣れたもので、あとはウメノの表情をどう再現するかに関心があった。10本程作って貰った内から雰囲気の近い2本を並べてみた。鬢を初め面描の各パーツがやや大きめに描かれているが、格調の高い表情に仕上がったと思う。
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コメント
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無理をされず静かにされていて正解ですね。どうぞお体大事にしてください。
16日は自宅そばの「ねぎし」おじゃましてきました。
秀顕さんと少しおはなしして、真由美さんの小さいまげこけしを求めました(まげの中に花柄入)
このブログで見て、気になっていた、8寸ぐらい?の、まげの中に小さいこけしの描かれたものは
残念ながら売れてしまっていました。
投稿: NT | 2019年6月22日 (土) 01時26分
NT 様
お久し振りです。
「ねぎし」行かれましたか!
良かったですね。
真由美さんの髷の中のこけし、会場では気が付きませんでしたが、写真で確認しました。
珍しいので、売れてしまったのでしょうね。
次回に期待ですね…
投稿: 国恵 | 2019年6月22日 (土) 20時30分